小説 | ナノ






ナカに出して。

熱に浮かされた自分が言った台詞はまるで女のようだと思った。シズちゃんとするセックスでこんなことを口走ってしまうなんて最悪だ。

(シズちゃん以外ならよかったのに、なんて)

シズちゃん以外に体を開いたことなんてないのにそんな風に考えてしまう。シズちゃんは俺のことビッチだとか思ってるんだろう。そうやって仕向けたのは俺だけど。(だってそうでもしないとシズちゃんが俺とセックスするはずがない。)


シズちゃんが好きだった。likeじゃなくてloveのほう。高校時代からの長すぎる片思い。いくらシズちゃんに嫌いだっていわれても、突き放したあとで少し優しくするシズちゃんに期待しない、なんてシズちゃんに陶酔してる俺には到底無理な話だった。


「ん、あっ、はぁ…っやぁ…シズちゃ、」

無機質な俺の事務所に、上擦った声だけが響く。シズちゃんは俺とのセックスのとき、すごく優しい。まるで壊れ物を扱うように俺に触れる。苦しくて呻けば優しく撫でてくれるし、名前を呼べば呼び返してくれる。それが俺を辛くするなんて、シズちゃんは一生気づかないんだろうな。


「ん、んっ…ふあっ…ね、シズちゃ、んっ…」


「あ?」


「すき、すきだよ、シズちゃんっ…!」


ああ、言ってしまった。言うつもりなんてなかったのに。シズちゃんのせいだ。あんなに優しく名前を呼ぶなんて。
言ってしまいたかったけど言いたくなかったことは案の定言ってしまってからの後悔がどうしようもない。

「…俺も、だよ。…っきっつ…!」


ああやっぱり意味わかんない。何さ俺もだよって、思ってもないくせに。そんなサービスいらないよ。

「…っシズち、ゃあんっ…あっ…ね、ナカに、だし、て?」

俺も俺だよね、何期待してるの。わかってるでしょ、シズちゃんにそんな気ないこと。ああわかってるさ、でも。
やっぱり、嬉しい俺は、マゾヒストなんだろうな。


結局ナカにだされて(出してもらって?)イった。さっさっと処理しなければ後が面倒だから、終わってすぐにシャワーをあびる。

ナカにだすなんて、無駄になるだけなのに。これで女だったならまだ考えようがあったのにな、とか思って、初めて気づいた。

(ああそっか。)

随分女々しくなったなあ。やっぱりこれだってシズちゃんのせいだ。

(鎖がほしいなんて。)
(もし子供ができたら、シズちゃんを縛ることができるかもなんて。)



馬鹿げてる。






 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄女になりたい臨也さん。
シズちゃんと結婚したい臨也さん。
シズちゃんだいすき臨也さんがだいすきです。


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