※シキイザ←シズ ※来神捏造 臨也が最近、一人の人間に陶酔し始めた。人を全員愛してるとかなんとか叫ぶのは変わらないが、しかしそこになにか影があるように感じる。梅雨の始まりの季節だった。 「臨也、今日の帰りどっか行かない?」 じっとりとした嫌な雨が延々と降り注ぐ校庭をぼんやり眺めながら、俺は新羅と臨也の会話に耳を傾けていた。腕にはりつくカッターシャツが湿っていて、気持ちが悪い。 「今日?ちょっと待って…」 臨也が懐から携帯電話をとりだし、作業し始めた。昼だというのに雨の所為か薄暗い教室に携帯電話の電子的な灯りがぼんやりと浮かび上がる。 「あー、ごめん新羅、俺今日無理。」 「あ、そう?何か用でもあるのかい?」 新羅が首を傾げると、臨也はまあね、と口を濁した。その態度が引っかかったが、その後現れた門田が(どうやら教師の呼び出しを無視していたらしい)臨也を引っ張っていったから、結局何も聞くことはできなかった。残された新羅の、嫌な雨だね、と呟く声が妙に大きくかんじた。 # それから数日たった雨の夕方に、俺は車から降りてくる臨也の姿をみた。黒塗りの嫌に光沢のある車から臨也はゆっくりと降りた。傘はないようで、艶やかな黒髪が雨でぐっしょりと濡れていく。臨也は車内にいる誰かに何か話しかけ、屈んで窓の中を覗いた。 窓からでてきた筋張った手が臨也の頬に触れ、後頭部を引き寄せた。臨也は窓枠に手をつき、上半身を窓に突っ込む。 数秒間の後、走り出した車を臨也はぼんやりと見つめていた。その後前髪を少し触って、こちらに振り返った。 「やあシズちゃん。覗きなんて悪趣味だね。」 臨也の赤い唇が雨に濡れて光る。 「てめえ、今の、」 「…何?シズちゃんには関係ないじゃん。」 「…うるせえ。あれ、堅気じゃねえだろ。」 その後の言葉は臨也も分かっていたようで、そうだよ、と頷いた。 「だから何?」 「だからって、」 相手は本気じゃねえかもしれねえのに、 発しようとした言葉は臨也が俺の頬を叩いたことで消えた。たたかれたそこがあつい。 「んなことっ…わかってんだよっ…!何?シズちゃんなんなのさ…!」 雨なのかなんなのか。とにかく臨也の顔は濡れそぼり、狭い肩幅が震えた。 「関係ないじゃん!シズちゃんにはさあ!シズちゃん俺のこと嫌いなら構うなよ…!」 「ちげえ」 は、と臨也が顔を上げる。 「俺はてめえが、」 嫌な雨だ。 何もかもが崩れていく。早くこんな季節は終わってしまえばいいのだ。 強制終了 この後シズちゃんが臨也に付きまとったり臨也が四木さんに邪険に(?)されたりと色々あればいい。 title/コランダム |