小説 | ナノ


昔からそうだったが臨也は小難しいことを考え過ぎる癖がある。非道なことは涼しい顔をしてするくせに、何故かどうでもいい小さいことで悩むのだ。


簡単すぎた解答



眼前で口ごもる臨也は小さい子供のようだと思った。艶やかな黒髪を撫でれば反応する姿がかわいい。

「無理強いって…、そんなの、」

瞳を伏せてごねる臨也の背中をさすると、こちらに視線をよこしてきた。赤い瞳はゆらゆらと不安げにゆれている。

「無理強いじゃ、ない、し、」

そこまで言って口を閉じてしまう。

「だから、無理強いだと思っとけっつただろ。」

頬をつねる。少しだけ身じろぎをして、臨也は柔らかく笑った。
花が咲いたような微笑にどくどくと心臓が早く脈打つのを感じる。ふと臨也を見上げると、臨也も同じようで、白い顔を真っ赤に染め上げていた。
半ば固まりかけていた俺を見かねてか、臨也は細い指を口元へ運び、首をこてんと傾げた。
年上の、しかも男なのに、臨也の仕草は色っぽく扇情的だ。俺は導かれるように唇を重ねる。ふんわりと香った臨也の匂いは目眩がするほど甘かった。





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ぎし、と保健室の古いベッドが軋む。は、と息を吐いた臨也は熱に浮かされたような瞳でこちらを見上げた。
深く口づけ、舌で唇を割り、歯列をなぞる。臨也は鼻に掛かったような声をだし、舌を絡めてきた。どうにかリードしようとしていた俺の思惑は早くも崩れ、いつのまにか臨也が口内を蹂躙し始めていた。小さな水音はしかし静まり返った保健室で大きく響く。
唇を離すと銀の糸がつうと伸び、消えるように途切れた。臨也ははあと大きく息を吐く。

「まさか保健室でするなんて思わなかったよ」

「…てめえが誘ったんだろが。」

はあ?と臨也が疑問符を吐いた。まさかこいつ無自覚か?

「…とりあえず、さっきみたいなことは俺以外にやんなよ。」

まだわからないと言った表情をしている臨也に溜め息をついた。頭がいいくせに鈍い。これも、昔からだ。

「シズちゃ、んっ、」

白衣の前を広げ、首筋にキスをする。臨也は身じろぎ、くすりと笑った。

「んだよ…」

「いやー、シズちゃんは絶対童貞だろうなあと思ってさ。」

「うっせえ」

甘噛みして舌を這わすと、臨也の喉がこくりと揺れた。黒いインナーをたくしあげ、白い肌に手を滑らせる。きめ細やかな肌は吸い付くように心地がいい。
掌で肌を堪能し、ゆっくりと胸の突起を摘む。びくん、と臨也が体を揺らした。

「シズちゃん、」

はあ、と熱い吐息を吐いた臨也が普段よりも湿ったような声音で俺を呼んだ。返事をしながらも突起を弄りつづける。

「…あ、りがとう。すき、だ、よ。」

上擦ったような声で発せられた言葉に理性がとんだのは言うまでもないだろう。




それはとても簡単なこと







次回本番…な…はず!


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