小説 | ナノ


※アブノーマルです









ぜえ、と臨也が苦しげに息を吐いた。鼻が詰まっているらしく、ひゅうひゅうと喉で息をしている。俺は臨也の頭をくしゃりと撫で、額の氷嚢の氷を変えるため立ち上がった。

シズちゃん助けて動けない

臨也から朝6時にメールが届き、俺は急いで家をでた。マンションのドアをあけると、臨也が廊下でぶっ倒れていた。取りあえずベッドに運ぼうと触れた体は、驚くほど熱い。臨也は焦点が定まらない瞳でぼんやりと俺をみあげ、ふにゃと笑った。ちくしょう、かわいい。

「臨也、なんか食えるか。」

声をかけると臨也はゆるゆると瞼を開ける。どうやら目をあけるのもつらいらしい。

「ん…なんか、冷たいもの食べたい。」

鼻声で言う。俺は買ってきたオレンジゼリーを臨也に見えるように掲げた。臨也はこくりと頷き、ん、と口を開けた。食べさせろ、とのことらしい。
ぺろりとオレンジゼリーを平らげ、臨也は上半身を起こした。

「おい、起きていいのかよ。」

「うん、さっきちょっと寝て楽になった。」

といいつつもまだつらいようで、壁にもたれたかかる。
きょと、と当たりを見回す臨也にどうしたと言うと、薬、とだけ返された。

「んーと。…シズちゃん、悪いけどクローゼットの中の救急箱だしてくれない?」

それだけ言い、臨也はやはりまだ怠いらしくぱたんと横になった。苦しげに呼吸を繰り返す臨也に俺は何も言えない。いつのまにこんなに甘くなったのだろうか。
俺はクローゼットを開け、中を物色する。あった。
白の箱に赤い十字が描かれたそれをとりだし、薬をさがす。しかし入っているのは包帯とガーゼばかりで、薬はみあたらない。ほどけてしまっている包帯を引っ張り出すと、青い紙袋が一つ入っていた。中はどうやら錠剤のようだ。よかった。
袋の裏の効能には解熱、鎮痛と書かれている。あったぞ、と声をかける。

「ありがと…」

臨也に袋を手渡し、俺は水を汲みに立ち上がった。コップに水を半分位いれ、俺はベッドの横に戻った。臨也にコップを手渡してやろうとして、制止される。

「なんだ?」

「…シズちゃん、薬、これしかなかった?」

臨也は悩ましげに眉を顰めて問うた。

「あ…?ああ。それしかなかった。」

臨也はそう、と大きくため息をつき、ありがと、もう帰っていいよ、と言った。いや、てめえ、それはだめだろう。

「あ?何言ってやがる」

「うん、自分でもそれはないとは思うけど、これほらみて、座薬だからさ。」

寝たまま臨也は青い袋の裏に描かれた、座薬という文字をなぞった。

「だからなんだよ。」

「いやいや。シズちゃんは人に座薬入れてるところ見られても平気なの。」

そんなわけない。人前に尻を晒すのだってごめんだ。臨也は、ね、と言うと、さっさと帰れという目でこちらをみた。つうか待てよ。ここまで世話させといて終わったら帰れって、それは都合良すぎじゃねえの。

「入れてやるよ。」

「はあ?」

「たがら、俺が座薬入れてやるっつってんだよ。」






平和島さんがどんどん変態化していく…!
続きます


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