※子供の名前はデフォルトに静也君にします。 麗らかな日差しがカーテンの隙間から差し込む。白を基調とした室内は徐々に明るくなり、キングサイズのベッドのシーツが波打った。とろとろと身体を包み込むシーツは心地よく、すりすりと撫でる。昨夜まであった金髪は既にベッドから抜け出たようで、隣が広い。ぼんやりと靄がかかったような脳はなかなか覚醒せず、臨也はぼーっと天井を見上げた。 (あー、静かだ。きもちー…) 臨也は心地よさにもう一度瞳を閉じようとした、その時。ドアがありえない音をたてて開かれた。 「臨也ーっ!朝だぞ!起きろっ」 ばきゃん、と明らかにおかしな音をたてて開かれたドア。そこに立っているのは、魚柄のパジャマを着た静雄と臨也の一人息子、静也だった。高らかに言う静也の背後からは静雄の怒鳴り声が聞こえる。 「おい静也てめえ!臨也は俺が起こすっつってんだろっ!」 どたどたと静也の後を追って静雄が寝室へ入ってくる。 「知るかよそんなん!つうかなんで静雄が起こすことになってんだよ!」 「んなもん当たり前だろが!つか親に向かってなんだその言い方は!」 ぎゃんぎゃんと言い合いを始めた静雄と静也。臨也ははあ、とため息をつき、シーツを手繰り寄せた。(朝からなんなのこれ。静かだと思った瞬間に…。) 臨也がシーツの中で二度目のため息をついたその間にも言い合いは激しさを増している。静雄はち、と大きく舌打ちをすると、静也の襟首を掴もうと手を伸ばした。それを静也はひょいとかわし、臨也が寝ているベッドへとダイブする。 「いーざやっ!起きろってほら、俺が起にきてやったんだぜ!」 「っ、てんめえ、静也こらあぁあぁぁぁあっ!」 「シズちゃん…朝から怒鳴らないで。あと静也、ドア壊れちゃうからもっと静かに開けて。」 このままでは家が壊れかねない。諦めた臨也はシーツから顔を出し、二人を戒めるように言った。腹に馬乗りになっていた静也はぱあと目を輝かせると、臨也ぁと甘えたように言い、猫のように臨也に抱きついた。 後ろでそれを見ていた静雄のこめかみにびきりと青筋がたつ。(あ、まずい) 「しーずーやーくーん?なーにしてんだよてめえは、あぁ?」 臨也の予感は的中したようだった。 鬼のような形相で静雄はベッドに乗り、静也を臨也から引き離す。 「この際はっきりさせておくけどよぉ、臨也は俺の嫁さんなんだよ。解るか、静也。」 「じゃあ言うけど、俺の体には臨也と同じ血が流れてるんだぜ?ただの他人な静雄より、ずっと俺の方が臨也に近いんだ!」 ふんと胸をはる静也に静雄はぐっとたじろぐ。(いやいやシズちゃん) とにかく、と仕切り直し、静雄は臨也を引き寄せた。 「臨也に近いっつったっててめえ、臨也の何を知ってんだよ!俺はなあ、こいつのことで知らねえことなんかねえんだよ!」 「俺だって臨也の好きな食べ物とか飲み物とか場所とか本とか、知ってんだからな!」 今度ははん、と静雄が嘲笑うかのように笑った。(だめだこいつ、子供相手にむきになってる…。) 「まだまだおこちゃまだなぁ、あ?静也くんよぉ」 「んなっ!」 かっと静也の顔が赤くなる。勝ち誇ったような顔で静雄は言い放った。 「俺は臨也がどこで感じるだとかどこで飛んじまうとか、耳が弱いだとか膝裏が苦手だとか、ふがっ!」 (ば、)(ばかじゃないのシズちゃん…!) 臨也はつらつらと語り出した静雄に裏拳をかますと、腹の上の静也を抱き上げた。 「静也、ばかなシズちゃんは置いといて、ご飯食べよう。」 「あ、うん。…なー臨也。」 「ん?」 「…耳、弱いのか?」 「静也、いいからそれわすれて。」 (シズちゃんのあほ、ばか、へんたい!) (耳…) (あーくそ、静也、覚えてろよ…) た、楽しかった…! この静也くんは幼稚園くらいのイメージです。 次は小学生とか書いてみたいなあ。 リクエストありがとうございました。 |