臨也に数十年越の告白をした。いつもタイミングを逃して言えなかった言葉は案外あっさりと口をついてでてきた。 臨也は俺に抱きしめられたまま、小さくこくんと頷くと、俺も、と言った。どうしようもなくかわいくて愛しくて、そして嬉しくて、抱きしめる力を強めたら、痛いよシズちゃんと言って笑った。 臨也と俺はそのまま辺りが暗くなるまで屋上で抱き合っていて、警備員が屋上の施錠をしにきたので慌てて離れて帰路についた。帰りに臨也の細くて小さい手を握ると、臨也はぴくんと反応して、少し笑ってから握り替えしてきた。 それが、1ヶ月前の出来事だった。 生徒の思惑 「成る程。で、そんなノロケを僕に聞かせるためにわざわざうちのクラスまで来たわけ?」 「ちげえ!…だから、あれ、あれなんだよ…。」 「どれなのさ…。」 ふうと眼前で溜め息をつく新羅を殴り倒したくなったがどうにかとどめる。殴ったら肝心なことが聞けなくなるかもしれない。 「だから…てめえはほら、好きな奴と同棲してんだろ?」 「同棲というか同居というかって状態だけどね。…まさか静雄、折原先生と同棲したいとか思ってるわけ?」 違う、と言おうとして脳内で臨也と同棲という言葉が響いた。臨也と同棲。…考えただけで、あれだった。どれだとか聞くなよ。 「っ…、ちげえよ」 「君今一瞬考えたでしょ。うわあ静雄ったらだいたーん…ごめんなさい黙りますね。」 机の端をつよく叩くと新羅は強張った表情で謝った。俺もどうにか気を落ち着かせようと深呼吸をする。 新羅は既に回復し、お茶のパックにストローを刺しながら言った。 「で、結局どうしたのさ。」 ストローを口に含んで新羅は問いかけてきた。ぎくりと体が固まる。俺はそろそろと口を開いた。 「……1ヶ月我慢したんだ。それそろ、いい、よなあ?」 「ああ、成る程。」 新羅はパックを机に置いて、頷いた。 「要するに静雄は折原先生とセックスがしたいんだね。」 「ばっ…!!」 新羅の言葉に思わず大声をだし、俺は立ち上がった。ざわついていたクラスは一瞬静まり返りこちらを見ている。睨みつけて座ると、だんだんと先ほどのざわつきをとりもどした。 「なんつーこと言うんだ、てめえは!」 「じゃあ違うのかい?」 「いや…ちがわねえ、けどよ。」 新羅はふんと頷き、じゃあすればいいじゃないかと言った。んな簡単にいくかっつーの。 「なんつーか、ほら…男同士ってただでさえ大変なんだろ?だから…」 「ああ、折原先生が心配なんだね。」 「…あいつただでさえ細えのに、んなことしたら壊しちまうんじゃねーかって思ってよ。」 新羅は少し笑って、そんな心配ないんじゃないと言った。 「折原先生はそんな弱くないと思うけどなあ。それに、静雄がそんな風だと折原先生も困るんじゃない?」 新羅は言うと、お呼びだよ、と教室のドアを指した。視線を向けると、臨也がはにかむように笑って立っていた。 持つべきものは友達だ DT静雄は毎日こんなことばっか考えて1ヶ月を過ごしたんだとおもいます。 |