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「…ふあー」

白い靄がたちこめる浴室に臨也の気の抜けたような声が響いた。臨也のマンションの広い風呂で俺と臨也は向かい合うようにして湯に浸かっている。臨也が白乳色に染まった湯を手ですくいあげた。頭を浴槽の端にもたげ、臨也はぼんやりと天井を見つめながら言った。声が反響する。

「あー…ねーシズちゃん、俺思うんだけどさ、人間ってお風呂入ってる瞬間が一番幸せなんじゃないかなー…。」

何あほなこといってんだこいつ、と思ったけど口にはださなかった。代わりに湯をかけてやると、くすくす笑いながら止めてよ、と言った。

「一番幸せなのはセックスしてるときだろ。」

「うわーシズちゃんさいてーへんたーい。」

きゃらきゃら笑う臨也を今度はうるせえと戒める。誰が変態だよ、てめえだってセックスのときが一番いい顔してんじゃねーか。

「でもまあ確かにセックスはきもちいいよね。」

風呂に浮かんでいたおもちゃを指で遊びながら臨也は目を伏せた。長い睫に水滴がのっている。まばたきすると水滴がぽたりと落ちた。白い肌は白乳色のお湯に溶けてしまいそうだ。
不意に臨也がこちらに近付き、俺に背を向けてもたれかかるように座った。

「あー、これ安心するー…。」

「…おい」

くたりと体を俺に任せて、臨也は目を閉じた。鎖骨あたりに臨也の髪が張り付いてくすぐったい。髪を払って梳いてやると、気持ちがいいらしく臨也は大人しくしていた。
そのまま何分たったかはわからないが、臨也はゆっくりと目を開いて、そっかあと呟いた。

「なんだ?」

「うーん、悟りを開いちゃったかも。とりあえずなんか今は、すっごい幸せ。」

「そりゃよかった。」

言って頭を撫でると、臨也は猫のように俺にすりより、また目を閉じた。
ちゃぷんとぬるい湯が揺れた。





(なんでこんなに幸せなのかって)(シズちゃんがいるからなのか。)
(シズちゃんといると、幸せすぎて溶けそうだよ。)







咲智様リクエスト、お風呂でいちゃつくシズイザでしたー短くなってしまって申し訳ないです。個人的にお風呂ネタは大好きなのですらすら赴くままに書けました。
いちゃ…つく…?
リクエストに添えていなければリテイクいつでも受け付けますので。
ありがとうございました!



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