小説 | ナノ




俺は平和島静雄が嫌いだ。人間を愛しているけど、やつだけは例外で、あの化け物じみた力さえなければとうの昔に殺していた。ナイフが刺さらない体には感動さえ覚える。
今日もいつものように殺し合いをして、やっぱりいつものように殺せなかった。
肩で息をする俺を、静雄は何故か悲しそうな顔で見てきた。

「臨也…てめえいい加減懲りたらどうだよ。」

「…はっ、誰が、」

嘲笑うように言ってやると、静雄の眉間の皺が深まる。そしてやっぱり、いつものように口を開いた。

「俺はお前を、傷つけたくねえんだ…、好きなんだよ、臨也」

言うなよ。そんなこと、聞きたくない。なんで俺が、シズちゃんに大事にされなきゃいけないわけ?シズちゃんに優しくされなきゃいけないわけ?俺たち殺し合ってたじゃん。お互い死ねって思ってたじゃん。やだよ、そんな、優しく、触んなっ…!

「っ、」

「臨也。お前はどうなんだよ。俺のこと、好きなんじゃねえのかよ。」

真っ直ぐで濁りない目が俺を射抜く。どうなんだよって。なにそれ。

「嫌いだよ!俺はシズちゃんが大嫌い!」

「嘘つけ。じゃあてめえなんでいま、」

なんだよ嘘つけって。俺が言ってるんだからほんとだろうが。馬鹿じゃねーの。

「なんで泣いてんだよ。」

そんなもん、知るか。全部全部、シズちゃんの所為だ。






静→←臨
臨也を大事にしたいシズちゃんと対等に扱われたい臨也。
最近臨也が女々しい話が多かったので。


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