小説 | ナノ


※婚姻についての法律を大幅に無視していますが、ここはファンタジーの池袋、広い心で読んでください
※会話文も混じってカオスです。







折原臨也が平和島臨也になったという噂は瞬く間に池袋中、そして新宿中に広まった。
それもこれも、静雄がフードを目深に被り俯く臨也の手を引いて、市役所に堂々と入場し、姓 平和島 名 臨也 と婚姻届に書き込むのを、臨也が赤い顔をして見守っていたからである。
その婚姻届を受け付けた新人の役員はその場で泡を吹いて倒れたそうだ。駆り出されたベテランの中年女性の役員は、大海原のように深く広い心と対応力を持ち合わせていたようで、にっこり笑って、二人を祝福したらしい。(帰り際に「お子さんが楽しみです」と声をかけたという話もあるので、一概にその中年女性がベテランの鑑であったかは確信が持てないが。)(そしてその一言に臨也は更に顔を赤らめ、静雄はそんな臨也の肩を抱いたという話もある)

そんな噂の二人が、今俺の目の前で、手をつないで座っているのだから、噂は真実であったようだ。俺のワゴンの後部座席に二人で寄り添って座っている姿は、なるほど確かに夫婦である。
…どうして、こうなった。

「それでねドタチン、俺たちの結婚式の仲人を、ドタチンに頼みたいなって思ってるの」

頬を薔薇色に染め上げ、静雄の肩にそっと体を預けた臨也は、随分と甘ったるい声音を出した。それでねってなんだ。なにがそれなんだ。仲人って、結婚って、なんなんだ。

「新羅には俺たちの友人役としてのスピーチを頼もうと思ってる。仲人にはやっぱり門田だろって臨也が言うし、俺もそれに賛成だ。」

寄り添う臨也の頭を撫でながら、これまた幸せそうな声音で静雄が言った。岸谷、お前も苦労するな。

「…お前達、本気なのか?」

ようやっと言葉を絞り出した。その言葉を聞いて、臨也も静雄も一瞬固まり、そして2人して靴を脱ぐと、ワゴンの後部座席に正座した。(静雄が脱いだ靴を揃えてやる臨也は随分と気がつく妻のようだ)

「門田……いや、お父さん」

キリッと、静雄は表情を引き締めた。誰だ、お父さんって。俺か。俺が誰のお父さんだって?…臨也か。

「絶対幸せにしてみせます。俺…いや、僕に、臨也さんをください!」

あまりにハッキリと凛々しい表情で言うものだから、俺は仰々しく頷き、それでは飽きたらず、臨也に「幸せにしてもらえよ」などと言っていた。臨也の瞳には薄い涙の膜がはっていた。
どうしてこうなった。


#


プルルルル…ガチャ

「もしもし、幽か」
「もしもし、兄さん。久しぶりだね」
「わりぃな、連絡なかなかしてやれなくてよ」
「兄さんにも都合があるだろうから…そうだ」
「ん?」
「結婚おめでと、兄さん。」
「…やっぱ知ってたか。ありがとな、幽」
「式場とか日程とか決まったら、教えて。」
「ん、わかった。…あんま無理すんなよ、な。お前、売れっ子なんだしよ。」
「兄さんと臨也さんの結婚式よりも大事な仕事なんてないよ」
「幽…!」
「兄さん…幸せに、ね」
「…っ、ありがとな…、うおっ、いざ、…なんだ急に……泣いてたからって…お前までなんで泣いてんだって話だろ…」
「…兄さん、マネージャーが呼んでる。そろそろ切るね。臨也さんによろしく」
「あ、おう、またな、幽!」


ガチャン ツーツーツー…









挨拶編でした〜
ギャグにしてみようとしましたが…^^


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