※臨也愛され総受け 「あ、臨也さん。こんにちわ。」 池袋を歩いていると、まだあどけない少年の声に呼び止められた。振り返ると、童顔の真面目そうな少年と、金髪ピアス、おかっぱ巨乳の3人組が立っていた。 「やあ、帝くんに正臣くんに杏里ちゃん。学校帰りかな?」 「はい。」 にこっと可愛らしい笑顔で笑いかけてくる帝くんと、頭を小さくさげて会釈してきた杏里ちゃん。その横では正臣くんがもくもくとクレープを頬張っている。 「あ、それ新しくできたとこのやつだよね。一口ちょうだい?」 「え、」 一歩正臣くんに近づいて笑うと、正臣くんはぎくりと肩を揺らしたあと、後ずさった。ひどいなあ、そんな嫌わなくてもいいじゃん。 そんな俺たちを見ていた帝くんが、俺と正臣くんの間に割り込むようにしてきた。帝くん優しいね、もしかして正臣くんを俺から守ってるのかな? 「臨也さん、僕のをどうぞ」 微笑みながら差し出された帝くんの手の中にはイチゴと生クリームがふんだんに使われたクレープがあった。甘い香りが鼻孔をくすぐる。おいしそう。 「ありがとう。」 「な、っ」 笑って言って、帝くんの持っているクレープを一口食べた。食べようとしたときに正臣くんの焦ったような声が聞こえたけど、構わず食べた。顔をあげると、帝くんのいつもの…いつも、よりも深い笑顔がみえた。その後ろには、何故か悔しそうな正臣くん。なになに、帝くんが俺にとられちゃって悔しいの? 「あ、折原さん、私のは味が…違うんですけど、食べますか。」 今まで黙っていた杏里ちゃんが、赤い顔をしながら俺の前にクレープを突き出した。え、くれるの? 「っ、臨也さん、俺のはキャラメルマキアートですよ!好きでしたよね、キャラメル!」 正臣くんが慌てたようにこちらに来ると、手にしたクレープを俺の顔の前で止めた。確かにすきだけどさ、いいのかな、学生ってお金に困ってるもんじゃない? 「うーん、気持ちは嬉しいけど、やっぱり学生からたくさん貰えないかな。ありがとね。あ、じゃあ俺はそろそろいくよ。3人で放課後デート楽しんで。」 「え、臨也さ、」 正臣くんの引き止める声が聞こえたけど、止まったら断ってもくれるだろうから、聞こえないふりをして手をふった。 幾分か歩いたところで、なんとなく周りが騒がしくなった。喧嘩でもしてるのかな。 「…臨也さん」 不意に後ろから低い声が聞こえ、(それがなんとなくあの池袋最強に似てたから)びくりと背筋が震えた。振り返ったそこには、やはりどこか彼の面影がある端正な顔立ちがあった。 「幽くん!どうしたのこんなとこで。」 「いえ…ただ臨也さんに会いたいと思って歩いてたら、臨也さんがいたので。」 相変わらずの無表情で幽くんは言った。 「あ、歩いてた、って」 ああだからか、妙にまわりに女の子がたくさんいるなと思ってたんだよ。幽くんがいるなら頷ける、う、あ!? 突如視界が黒くなり、ほんのり暖かいぬくもりにつつまれた。え、なにこれ。 「臨也さん、会いたかった…また、痩せた?」 「か、幽くん、」 「かわいそうに、また痣ができてる。…兄貴にやられたの?」 いつのまにか俺は幽くんの腕のなかにすっぽりと収まっていて。幽くんの低く落ち着いた声が耳にかかって、体が震えた。 「っ、これは、違う、よ。…幽くん、ちょ、っと離して?」 腕をほんの少しつっぱって抵抗すると、幽くんはするりとその拘束を外してくれた。あー、流石アイドル、ちょっとクラッときた。 どうにか鼓動を落ち着かせなきゃ、て、あ、この感じ、 背筋がぞくぞくするような殺気を背後から感じる。やばい、振り向いたらしぬ、 「いーざーやーくーん?奇遇だなあ、こんなとこで会うなんてよぉ?」 がしりと肩を掴まれ、そのまま大きな体に引き寄せられた。俺、終わったかもしんない。 「し、シズちゃん」 「いいわけは後で聞くからよ、ちょっと来い、な?…幽、もうこいつに近づくなよ?最低なやろうだからよお」 ずるずると引きずられるように俺はその場から退場させられた。この後どこに行くかは想像もつかないけど、取りあえず明日も足腰立てばいいな、と諦め加減で思った。 # 「兄貴、独占欲強すぎ…」 取り残された幽は2人が消えた方向を見続けながら、小さく呟いた。 「でも、俺にもその血が流れてるから… おちおちしてたら、臨也さん、もらっちゃうから。」  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄愛され臨也にしたかったのですが、ただの平和島サンドになりました。好きです。 タイトルはzinc様からかりました。リンクに繋げてあります |