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01

年に一度、七夕の夜。
私は太一の隣で夜空を見上げていた。


Twinkle, twinkle


「…綺麗だな。」
「うん。」

お天気に恵まれた七夕。
去年は確か、雨だったなーと思いながら、空を見つめる。
私が覚えている限りでは、ここ数年、七夕の日は雨だった気がする。
こんなに綺麗に晴れた七夕はいつぶりだろう。
カラッと綺麗に晴れた夜空を見て思うことはひとつ。

「ねぇ、彦星と織姫は無事に会えたかなー。」
「なに、お前。まだそんなメルヘンなこと言ってんの?」
「うるさいっ!ロマンチックのかけらもない太一にはわかんないか、彦星と織姫の切なさ!」

お互い愛し合ってるのに、年に一回しか会えないんだよ?
なのに、ずっとお互いのことを思いあってるなんて、素敵すぎる。

それを分からないなんて!
じとーっと太一を見つめれば、慌てて取り繕って来た。

「ま、まぁ、こんなに綺麗に晴れてんだから、今頃イチャイチャしてるっしょ。」

イチャイチャって、言い方はないでしょ。
そんなことを考えながら、再び視線を空に向ければ、急にカーテンを閉じられ、その場に押し倒された。

「ちょ、太一っ!私、天の川見てたのに!」
「久しぶりに会った恋人が家に来たいって言ったら、期待するに決まってるだろ。」
「で、でもっ、彦星と織姫がっ…!!」
「一年に一回しか会えない恋人の邪魔するなんて野暮だろ。」
「さっきはバカにしたくせに!」
「純見てて考えが変わった。せっかくだし、俺らも恋人らしいことしないとな。」

ニヤリ、と笑い、そのまま口付けられて、言い返すこともできず、ただ太一に身を任せた。

彦星と織姫も恋人との時間は邪魔されたくないのは同じか。
結局、太一の意見に納得してしまうのだった。


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