生徒会

「ありえないっつーのー!」

某漫画を実写化したドラマの名台詞。
まさか自分が叫ぶハメになるとは思わなかった。


太一の顔写真入りのポスターが学校の至るところに飾られたのは、選挙が告示されてすぐだった。
顔良し運動神経よし、性格よしと三拍子が揃っており、ファンクラブまである八神太一が立候補したことにより、時期生徒会長が誰になるのかは火を見るよりも明らかだった。

そして、その推薦人もまたファンクラブの存在が噂される石田ヤマトと竹之内空。
毎朝の選挙活動中、太一、ヤマト、空の周りにはそれはそれは物凄い人数が集まっていた。
そんな彼らと幼なじみである私は、太一たちの元へも、他の立候補者の元へ向かうこともなく、ただただ普段と変わらない毎日を過ごしていた。

そして、何事もなく、いつも通り迎えた今日。
生徒会長立候補者の演説が行われていた。
太一は元々人を惹きつける魅力を持ち合わせており、先ほどからなにかひとつひとつ発言する度に歓声があがる。
私からすれば、一人称が僕ってゆーのが笑えてたりするんだけど。

「最後になりますが、お願いがあります。勝手ではありますが、僕が生徒会長になった際、効率化を考えて、副会長は石田ヤマト、会計は竹之内空に委任したいと思ってます。」
「は?」

通常なら、副会長は生徒会長立候補の中から選出されるため、太一の突然の提案に私は思わず、変な声を出してしまった。
しかし、さすがファンクラブの噂される二人でブーイングどころか歓声があがっていた。

「声援、ありがとうございます。そして、書記にはそこでボーゼンとしてる彼女にお願いしたいと思います。」
「はぁ?!」

太一の視線の先にいるのは他の誰でもなく、私で。
先ほどからバッチリ目が合ってしまってたりする。
もちろん、周りの生徒の視線は私に集まる。
でも、そんなの気にしていられない。

「いやいや。あり得ないでしょ!私、そんなこと聞いてないし!てゆーか、やりたくないし!」
「と本人は言ってますが、任されたことを勝手に投げ出すような奴ではないので、委任してもいいという方、拍手をお願いします。」
「ちょっ、そんなこと勝手に…!」

私の発言も無視し、ニヤニヤした顔の太一の声に賛同した生徒たちが拍手を送る。

「ありえないっつーのー!」

とは言いつつも、この拍手に答えないわけにはいかない。
あぁ、私の静寂な日々よ、戻ってこーい!



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