1.sofia
「高校でクリスマスパーティーが開催されるなんて珍しいよね。しかも、パーティー会場を貸切なんて、さすがはば学」

 私立はばたき学園の一年生である私、小波奈美子はクリスマスイブイブである12月23日、クラスメイトで親友の紺野珠美ちゃんとお気に入りのブティック・ソフィアにショッピングに来ていた。清楚で可愛い服が揃っているこのショップの店内は、冬休みの学生たちで賑わってる。
 ハンガーにかかった色鮮やかなドレスたちを吟味しながら、すぐ隣で同じように値札とにらめっこしている珠ちゃんに話しかける。

「本当……。ドレスコードもあるなんて、本格的だよね」

「高校生にフォーマルドレスはちょっとお財布に厳しいね」

 喫茶店ALUCARDでのバイト代、地道にこつこつ貯めておいて良かったな。

「奈美子ちゃん、決まった?」

「うーん……こっちの白いドレスか、こっちのピンクので迷っているんだけど……」

 光沢のある白い生地でできているパフスリーブのドレスは清楚で可愛いけれど、汚れやすそうで少し躊躇してしまう。ピンクのAラインドレスも候補だけれど、ワンショルダーだから肩や腕がむき出しになってしまうことが気になる。

「あ、可愛い。奈美子ちゃんには絶対白が似合うと思うな」

「え、そうかな?」

「うん。白はクリスマスカラーだし、清楚で奈美子ちゃんにピッタリだよ」

 うっとりとした口調で褒める珠ちゃんにうまくのせられて、その気になってしまう。食べ物をこぼさないように気をつければ、きっと大丈夫だよね?

「そっか、じゃあこっちにしようかな。珠ちゃんはどれにするの?」

「私はこれにしようかな。上着もセットだからお得だし」

 珠ちゃんが見せてくれたのは、真紅のAラインのワンピースと白いボレロのセット。キュートで珠ちゃんのイメージぴったり。

「あ、珠ちゃんもクリスマスカラーだ」

「えへへ、同じだね」

 目を合わせて微笑みあって、その雰囲気で、お互い明日を楽しみにしていることが分かった。パーティーは生徒全員参加だし、男子生徒ももちろんフォーマル着用。珠ちゃんは口には出さないけれど、好きな人がいるのはなんとなく気付いていた。好きな人とクリスマスを一緒に過ごせるなんて、それが学校行事でも嬉しいよね。

 私は今のところ気になる人はいないけれど、担任の氷室先生のフォーマル姿はちょっと楽しみ。端正でクールな顔立ち、長身痩躯の氷室先生はいつも細身のスーツを颯爽と着こなしているから、きっとフォーマルもセンスいいんだろうなって。無表情で厳しくて少し怖い先生だけど、いつも目の保養にしていることは内緒。

「楽しいパーティーになるといいな」

「私は料理が一番楽しみ」

「もう、奈美子ちゃんたら」

 紙袋を大事に手に提げて、冬休みの計画をおしゃべりしながら駅までの帰り道を歩く。街はイルミネーションで金色にキラキラしていて、クリスマスソングがあちこちの店先から流れてきて、自然と胸は弾んでいた。
>>
TOP
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -