▽太陽視点

白竜君のホワイトブレスが突き刺さり、僕らは得点に成功する。
その際、相手キーパーの井吹君(?)が多少怪我をしてしまったみたいだった。本人が「大丈夫だ」と強く言い張っていたのはここまで聞こえたけれど、決勝前だしとか何とか神童さんに説得されたようで、控えにいた信助君と交代。

その後の試合は、それはそれはすごいものだった。凄まじい…というか、迫力満点、…だってみんながみんな、全力を出し尽くしていたから。
何かを架けた戦いじゃぁない。ただ、己がしたいがために全力を出す。
…楽しいなぁ。
ベンチに座ったことってあまり無かったけれど、ここからだとこれはこれで試合を客観的に楽しめるから悪くない。


「反撃だ!! 神のタクトFI…!」


神童さんのタクティクスの最後の方で、なまえにパスが回ってきた。どうだろう、サンシャインウィンドなら千宮路さんと対等に戦えるけど、連携相手の天馬は中盤に居るし。
…どうする、なまえ。


「っま、瞬木さん!!」


なまえの選択、そのパスを「やっときたか」って感じのドヤ顔で受け取った11番の彼は、ソウルを繰り出して更にはシュートブレイクを破って1点。
…うん。それでいいよ、なまえ。
チームメイトと、パチンと手を叩いて挨拶を交わすなまえの顔は、もう清々しいものだった。



*****


その後も、白熱の試合は冷める事なく続行。


「ジャスティスウィング!」

「キングファイア…!!」


天馬の化身技が突き刺さる。が、千宮路さんの化身技には叶わず、得点は2-2から中々動かない。だけど見ていてとても楽しい。
ていうかなまえってば天馬に見とれちゃってるし…。
気分が優れないとかで、ここにいない剣城くんが少し残念に思える。なまえ達が帰ってきたら、今度はみんなでまた試合を組みたいなぁ…そう思うぐらいには、とても楽しい試合で。

ホーリーロード、テレビや雑誌やどこかで見たことのある技が連発される中、どんなに走っても疲れ1つ見せない白竜君の体力に恐ろしさすら感じていた頃の事だ。


「蒼天の覇者、玉竜!!」

「ッ、」


彼が、その場の流れで化身を繰り出した時。反対側のコートにいたなまえが、少し苦しそうに心臓に手を当てた。
なまえ?
ベンチに居たから見えたんだけど、まるで白竜君の化身に反応するかのように、……いや、考え過ぎか。なまえにはきっと関係ない。
でもそういえば、ずっと忘れていたけれど過去に気になることがあったような。

〈昔、1度だけ見たんだ。なまえから大きなオーラが溢れていくの〉

〈こいつから何かオーラが見えたんだ〉

幼い頃の自分の記憶とか、前に白竜君に言われたこととか。今思えばあれらは「ソウル」なんだろうけれど、それにしても気になる。
どうしてまだ出ない? だって僕が初めてそれを見たのはもう5、6年も前の話だ。むしろ今まで具現化されなかった方が不自然というか、…なまえだってあれだけ頑張ってるんだし…。

彼女を責めているわけでは断じてない。化身やソウルはその人の「気」によって出る、みたいな、曖昧なものだし、威力も大きさもモノにするまでの時間も、そりゃぁ個人差があると思う。
それにしても違和感。まるでずっと眠っていたみたいな、…あるいはなまえ自身が抑えているかのような。
…抑えている?


そんな事を、1人、脳内でぐるぐると考えている間にも試合は続く。
ボールはフィールドを行ったり来たり。そこに立っているプレイヤーのほぼ半数以上が、化身、あるいはソウルを繰り出している状況だった。

ボールを追って前の方に出てきたなまえと、玉竜を繰り出したままの白竜君がぶつかった瞬間、なまえの顔色が変わる。


「うあ、ァァ…っ!!」

「!」

「なまえ!?」


ボールを挟んでなまえが嘆きだした。目前の白竜君すら驚いている。


「なまえ! どうしたの!?」


心配で心配でいてもたってもいられなくて叫んでしまう。が、ここに審判は居ないしそう容易く試合を止めるわけにも…といより、なまえから何かオーラのような物が溢れていく。これは―…


「っ、」

「!?」


白竜君となまえのボールの取り合い、…それに勝したのは。


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