「す、すごい…皆帆のあの技、地球じゃ大活躍だね…!」


ラトニークで見たときも驚いたけど、まさか白竜相手にも通用するとは。次いで太陽も突破しちゃったし。
流石、と言うのも違う気がするけど、おかげで相手のツートップを抜くことができた。……けど、もちろん相手も中々手強い。
ボールは皆帆から俺に、そこから前線で待機していたなまえにパス……しようとしたら、カットされて再びレジスタンスボールに。
で、今度は相手の長距離パスを真名部がカット。それを皆帆にパスしたところで、向こうの方で待機していたシュウとぶつかる。
2回の前例があるだけ、レジスタンス側が嫌な汗をかいているのが分かった。


「よーっし! あそこに…」

「無駄だよ! バニシング…」

「あ、あーっ 空から何か降ってきた!!」

「えっ!?」


えぇ……。場がシーンと静まり返る。
白竜や太陽と違って、ブロック技を所持しているシュウを抜くのは厳しいかも……と思ったけど、シュウの技に焦ったのか、慌てて皆帆が誤魔化した。
しかも成功している。
これ…反則にならなきゃいいけど……。何でもアリ、って白竜は言ったしギリギリだろうな…。

でもまさか、冷静なシュウが引っかかるとは。みんなが唖然としている中、はっと気がついたシュウが即座に振り返って皆帆(のエリ)を捕まえた。えっ、思いっきりイエローカードだよ!?
けどどうやら彼はそれどころじゃぁないみたいだ。


「君たちが空から降ってきたから、何かあるのかって警戒したんだよ…! 僕を白竜や太陽君と同じレベルにしないで欲しい!!」

「おいシュウ…」

「同じレベル、ってシュウ君……」


皆帆の襟元を持ってがくんがくんと揺らすシュウ。揺らされる皆帆。さりげなく馬鹿にされたことにツッコミを入れる、白竜と太陽。
そして盛大にため息をつく、レジスタンス一行。
正直こんなサッカー生まれて初めてでどう対処すればいいか分からないのだけど…と、とりあえずシュウを止めに行ったほうがいいよね!
そよ風ステップで俺はシュウの所まで行った。皆帆はもう限界そうだ。


「わ、ご、ごめんって…ちょ、ちょっとそろそろ苦しいよ…」

「シュウ!? 暴力はよくないよ!?」

「……もう、正々堂々とやろうよ」

「分かったよごめん…」


いつも朗らかな皆帆が本気で謝っていた。恐るべしシュウ。ていうかイエローカードだって…。


「宇宙でもこれ使ってるの?」

「う、うん、絶大な効果を発揮したけど……、…え?」

「?」


あれ? ここで、さっきから何となく感じていた違和感に俺は気がついた。


「どうしてみんな、俺たちが宇宙で戦ってること知ってるの?」


今更だけど、と聞いてみたらみんなぽかんとしていた。
あれ…? だって、俺たちは世界で戦ってるってことになってるはずだ。俺は言った記憶ないし、剣城とか神童さんも家族には話すって言ってたけど、白竜とかみんなには……。
あぁでも雷門のみんなも知っていたし、豪炎寺さんが教えてくれたのかな?

俺の質問に、シュウは白竜を見た。


「僕やレジスタンスのみんなは、白竜から聞いたよ」

「俺は…、」


そこに、騒ぎ(?)が気になったのか、ゴール前にいたはずのなまえや太陽がこちらに歩み寄ってきた。


「どうしたの、天馬」

「うん、どうして白竜達は、俺たちが宇宙で戦ってる事を知ってるのかなーって」

「あっ」

「え?」


ここで、何故か太陽が鈍い声を漏らす。
なまえが太陽をじとっと睨んだのと同時に、白竜が一言。


「俺は太陽から聞いたぞ」


太陽は白竜の口を塞ごうとしていたけどもう遅かった。なぜか冷や汗をかく太陽に、なまえが低い声で喋る。


「お兄ちゃん……極秘、って…言ったよね……」

「えぇっ、や、そうだけどやむを得なかったんだよ!!」


それからかなりの早口で、なまえが拐われた経緯―突然宇宙人が来たこと、なまえを連れいてこうとしたこと、そこに偶然白竜が居合わせたため説明するしかなかったこと…を太陽が語る。本当にすごい早口だった。
それを聞いてなまえは目を伏せた。


「心配、させて…ごめん」

「うん…」

「こうして力を貸してもらってるわけだし、責めたりはしないよ」


むしろ話していたほうが好都合だったみたいだね、となまえは力なく笑った。


「なまえ、」


思わず声をかけたけど、言葉が続かなくて。


「?」

「えっと…試合、続けようか!」


頭に浮かんだ言葉を何とか口に出す。と、なまえは一礼をして自分のポジションに戻っていく。
その背中がどこか寂しげに見えたのは、気のせい…かな。
心配する俺を他所に、白竜はぼそっと呟いた。


「…あぁ言っているが、信頼は裏切っただろうな」

「ね。」


短いシュウの相槌を聞いて、太陽が大袈裟なぐらいに項垂れた。


「どうしよう、この間も『もう看病は要らない!』って言われたばっかなんだよ…!」


そう嘆いて、太陽は滝のような汗を流していた。ていうか涙? …大丈夫かな、とかふと心配になる。色んな意味でさ…まぁ大丈夫だろうけど。


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