好葉さんの必殺技、このはロールが決まりチームの勢いが増す。
そのまま剣城さんのシュート……と見せかけての不意をつくパスで、九坂さんがシュート、イナズマジャパンはここで1点を決めた。
……あと、2点。
激しい攻防戦が続く中、ようやく前半戦が終わった。……長かった。
疲れているみなさんに、私も葵さんの手伝いみたいにドリンクを手渡す。
するとその傍らで、好葉さんが九坂さんに話しかけていた。
「九坂くんの気持ち、ありがとう…!」
「っ、あぁ!」
それからなにか和んでるようにも見えたんだけど、
「あの…でも……彼女になるのは……その……ダメです!」
「!!」
フラれていた。
それから「ごめんなさい」と謝る好葉さんに、「元気になってくれたらそれでいい」なんていう九坂さん。
これからはみんな、笑っていければいいなぁ、って。
だけど流石にやっぱりちょっと(?)は凹んでるように見える九坂さん。まぁ、頑張ってくれたのでタオルくらいは手渡しておこう。
「残念でしたね」
でもこれからですよ! なんて言えば、今度は鉄角さんがドリンクを差し出す。
「お前は漢だっ!」
うんうん、カッコよかったですよ、なんて褒め称えれば今度はさくらさんによるお説教が始まったりして。そりゃぁまぁ、いきなりすぎてみんなビックリしちゃってたもんね、いい機会だからそっとしておこう。
もうびっくりしちゃった、と言いつつドリンクを手渡す葵さんに、好葉さんは九坂さんを見ながら呟く。
「もうちょっと前向きになれたら、九坂くんの気持ちとも向き合ってみようと思う…。」
そんな彼女の言葉に、葵さんはうんうんと頷いて。
そしたら、次に好葉さんは私のところにトコトコと歩み寄って来た。
「なまえちゃん、」
「はい…!」
良かったですね、とか、何とか。言ってあげたいことはたくさんあったのだけど、好葉さんも何か言おうとしていたみたいなのでそちらを促してみた。
「どうしました…?」
「…うん、あのね。強くなるには、…自分に自信を持つこと。」
「!」
「なまえちゃん、そう言おうとしてくれたんだよね」
この前の。傷つけてしまったと思ってた言葉は、ちゃんと届いていたんだ。
「あ、あの。ありがとう。」
「! わ、私は…なにも…」
「ううん、真剣に話してくれて嬉しかったよー」
そう言って、ニコリと微笑する好葉さんに私は恥ずかしいような照れるような、なんというかくすぐったい気持ちになった。
人にお礼言われるのってこんなにいい気分になるんだなぁ。不思議だな、ちょっとしたことなのに。
なんだかすごく嬉しくなってきちゃうんだよ。
そんな私達の一方で、後半戦について頭脳派組がこんな事を言っていた。
「ちょっと気がかりなんだ、後半の戦いが…」
「皆帆君もですか。森村さんのDFを計算に入れれば、優勢なのは僕たちのはずなんですけどね……」
なんて。後半の戦い…?
言われてみれば、前半はカウンターを仕掛けてばっかりだったわけだけど、後半戦はどうなるか…。
攻撃重視になってもおかしくはないはず。否、こっちもそれに対応できなくちゃ。
そんな事を話し合っている頭脳派組に、我らが監督が立ち上がった。
「見出すんだ、お前たち2人で…勝利への解法を」
「勝利への…」
「解法……?」
…なにか難しいことを言っていた。
開放? いや海宝? 開封…ってこれはカイフウか。違うでしょ、勝利へのって言ったら解法……解決策ってことかな。
頭脳派組はライバル心か何か、互いに果敢に立ち向かっている模様。
この2人が上手くいけば逆転勝利もきっと…いや、絶対にできる!
思えば、希望とか光っていうのは、いつも自分の身近にあるものなのかもしれない。
「みんな! 敵を恐るな、気合入れていこう…この試合、絶対に勝つぞ!!」
「「おう!!」」
天馬キャプテンの掛け声でみんなが1つになる。
そして長い長い後半戦が始まった。
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