はんぶんこ


あんまんと肉まん。あとピザまんもいいかもしれない。
それとカレーまんと………コンビニにある中華まんを全制覇しそうな勢いになったのでそこで手を止めておく。
ふと時計を見ればかれこれ数十分経ってしまっていたので慌ててレジを済まし、コンビニを出た。

私はただ今買い出し中。
真冬の北海道は寒いの何のって言葉じゃ表せられないわけだけど、そんな中でも屋外練習をする彼らに差し入れだ。
…勘違いの無いように言っておくけれど、決してパシリだとかそういうんじゃない。うんこれ重要。
急いで学校に戻れば練習中の声がグラウンド一面に響き渡っていた。


「パンサーブリザード!!」


その後にものすごい豪雪の音が聞こえたのはきっと気のせいじゃないだろう。
相変わらず頑張ってるなぁ、なんて思いながらひょっこりベンチに戻れば、不機嫌そうな顔がこちらに近づいてきた。


「…遅い」

「う、ごめん……はいどうぞ」


そう言って中華まんが詰まったレジ袋を渡せば、ガサゴソと中身を漁る。
そんな雪村君を見ながらふと思う。


「ていうか皆は?」


何気なく聞いてみたらぎろ、と睨まれてしまった。しまったこれ地雷だったか。
何も知らないフリをしてとりあえず私も黙る。
……うん、帰っちゃったんだろうね、みんな。
それでもまだまだ練習を続けるつもりであろう雪村君を見ていると、不思議と私も励まされたような気持ちになる。

……いや、そもそも中華まん買い出しさせておいて帰っちゃう皆もどうかとは思うのだけど。
まぁそこはマネージャーとして許してあげることとしよう。うん。でも次は雪村君の分しか買ってきてあげない。

よほど彼の意気込みというかある意味殺気立ってるオーラがすごかったんだろうなぁ、なんて1人心で呟く。
雪村君は意地っ張りで誤解されることが多いけれど、実はとても頑張り屋さんなのだ。
それを「めんどくさい」と取るか「可愛い」と取るかはそれこそ人それぞれだけど。

どうやらお気に入りらしくカレーまんを幸せそうに頬張ってる。
…何だかすごく可愛い。きっとこんな雪村君を見れるのも私だけの特権だったりして、なんて。
いつの間にかその食べてる姿に和んでいるとまた睨まれてしまった。


「何だよ」

「え、いや…可愛いなぁと」

「……パンサーぶりざ」

「ごめんごめん!」


ここでそれ打たれるのは痛いので滝汗で謝っておく。やっぱり男の子に可愛いは禁句らしい。
にしてもどうせ皆帰っちゃってるんだし私も何か食べようかなと思ったとき、雪村君がいきなりカレーまんを半分に割った。
妙に手先は器用だなと眺めていると何と差し出してくれた。


「ん」

「…え、えっと…?」

「……要らないならいいけど」

「要る! 食べたい!」


急だったので驚いた。
まさかあんなに幸せそうに食べてたカレーまんを半分分けてくれるなんて。
まだあんまんとか他のもあるのだけれど、何だか半分こって暖かい。
しかも雪村君は雪村君で何だか照れてるし、やっぱ可愛いなこの。

さてカレーまん、ありがたくいただくことにした。
…あ、美味しい。


(冬の北海道は)
(カレーまんで乗り切ろうと思います)







少しだけ書き方変えてみました。どうでしょう…逆に読みにくくなってたらどうしよう……はい。夢主さんのセリフ、『』閉じをやめてみました。
ちなみに自分は肉まん1番 あえてカレーまんを推してみました()

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