blurry eyes2



「ここがイイんだろ?」

「やだぁ…違う…っあ…」

ぐりぐりと奥を突いてやる度に声が漏れてくる。
俺は今、ベッドに押し倒したアイツを、正面から貫いていた。
無理矢理脱がせたアイツの服と俺の服がベッドの周りに瓦礫の様に散乱している。
ギシギシとベッドのスプリングが軋む音に混じって、時折なまえの堪えきれない吐息が聞こえる。

「我慢すんなって、締まってんのは
   分かってんだから」

歯を見せると、アイツは怯えた目をした。

そう、何度も抱いた身体は全て知っている。
耳に甘く噛みつかれる事が好きな事も
鎖骨を舌でなぞられる事が好きな事も
奥の入り口の少し手前を擦られる事が好きな事も

何もかも初めに見つけたのは俺なんだ。
そして、ずっと俺だけのものだったんだ。

今更誰に触れさせられる?

無性に肌を重ねたかった。
胸が掻きむしられる様なそんなもどかしくて
でもどうにも出来ない足掻くしかない状態。
滅茶苦茶に抱いて、俺だけを見て欲しかった。

メッキが剥がれて、醜い自分が露呈する。

今さら遅すぎて取り戻すことなんて叶わないだろう。
頭の中では分かってる。
それでも俺は…

そんな中、インターホンが鳴った。
無視していると、扉を開けて誰かが玄関で靴を脱いでいる音が聞こえてくる。
そして、足音がどんどん大きくなってきた。

思わず口角が上がり、腰の動きを早める。

「やあぁっ…!」

すると、なまえが大きく声を上げて俺を締め付けてきた。イッたコイツは涙を浮かべて荒く呼吸をしている。


「せんぱーい、お待たせ…!?」

部屋のドアを開けたおあいて2の動作が止まる。
目の前に広がる光景に驚き、固まっていた。

「よぉ、おあいて2」

アイツを組み敷いたまま、奴に顔を向けると頭を殴られた様なそんな苦痛に歪んだ顔をしていた。

「ほらなまえ、見せてやれよ。
   お前の大事な彼氏に。
    俺に抱かれてるところを」

「やぁっ!?おあいて!?」

余韻の残るなまえの身体を起こして、ベッドに座った俺の上に股がらせる。
憎い恋敵に全てを見せるために、俺はなまえの背中を胸に納めた。
自分にこんな悪魔じみた一面があるなんて知らなかった。

「なまえ先輩どうして…?おあいて先輩とは何もないって…
    自分の片思いって言ってたじゃん…」

困惑したおあいて2が声を震わせていた。
どうやら、俺と関係を持っていた事は言ってなかったらしい。

「何もないわけねぇだろ。コイツは俺のだ。
    お前なんかに渡すかよ」

そして再び律動を開始する。
目の前の後輩に俺達の全てが見える様に思い切りなまえの両脚を開かせてやった。
必死で閉じようとするコイツの足を膝で押し広げて結合部を見せつける。

「やだぁ…おあいてもうやめて…!
   おあいて2、見ないで…!!」

「うるせぇ!」

泣き叫ぶなまえの唇を塞いだ。

「んんっ…!ん"んっ…!」

威嚇するためにとびきり深いキスをしてやった。俺を刻み込む様に舌を喉の方まで這わせて、唾液を飲ませる。
すると、段々となまえの身体の力が抜けていった。

俺達二人の出逢った頃の想い出はメリーゴーランドの様に美しく回っているけれど、その輝きには近づく事すら出来ないだろう。
もう、夢よりも遠くて儚いものになってしまった。

「あっ…はぁっ…あぁっ…!」

「お前、嫌々言ってる癖にいつもより感度いいぞ?」

イイトコロを擦ってやりながら、首筋を舐め回す。なまえの白い肌を俺の紅い舌が滑り、唾液まみれで妖しく光る有り様に酷く興奮を覚える。
俺達の粘膜は淫らな体液でドロドロに溶けていた。
腰の動きを早めながら胸の先端を人差し指で押し潰してやると、中がきゅっと締まってきた。子宮の入り口を先端で抉じ開けようと何度も刺激すると、段々と膣壁が小刻みに震える。

「も…ダメ…おあいて…」

「大好きなおあいて2に見られながらイッちまえよ!中に出してやるから…」

力なく呟くなまえに、限界が近い事を悟った俺は、腰を掴んで激しく肉杭を打ち付ける。背筋を快感が走り抜け、中心に血液が集まってきた。そして、自分自身は硬くなり、質量を増した。

「やだぁっ…!」

大きく身体を揺らして、蠢く肉襞が俺の精液を搾り取ろうと吸い付いてくる。

「っ…なまえ」

吐息と共に自分自身が大きく脈打ち熱を放つ。
力の抜けたなまえの身体をきつく抱きしめて、先端を奥へ押し付けると俺達の繋ぎ目からは白い液体が溢れてきた。
コイツの肩越しに見えるその光景に目を細める。

歌を失ったオルゴールは、奏でる音を知らずにただ一人で虚しく回り続けるだけ。

愛しい女を抱きながらも、その心は2度と重なる事はない。

目頭が焦げ付く様に痛み、熱が込み上げてきた。

「まだ全然足りねぇ…」

哀しみを振り払う様に、より深く胎内を抉り始める。

「おあいて…もう…止めて…」

すると、呻くようなアイツの声。
俺の上で項垂れているなまえの頬には涙が次々と走っている。

「なぁ、なまえ。
   イイコト教えてやろうか?」

更に追い詰める為に愛しい女に囁きかける。

「おあいて2の奴、俺達のセックス見て興奮してるぞ?」

「えっ…?」

驚くなまえの視線を奴へと向けさせる。
コイツの愛しい彼氏は、俺達を見て勃起していた。ジーパンの中心が膨らんでいるのは一目瞭然。

「おあいて2、来いよ。お前もヤりたいんだろ?」

手招きをして、この優しくて純粋な男を誘惑する。

「なまえ先輩…ごめん…」

すると、奴は申し訳なさそうに謝りながらも自身の服を脱ぎ始めた。

「おあいて2…」

なまえの顔には失望が広がっていた。
その顔を見て、言葉にし難い暗い満足感が広がる。


今更もう、俺の想いは届くはずはないだろう。

だったら、コイツが掴んだささやかな幸せを壊してやりたかった。

俺の腕からすり抜けて、一人だけキラキラと輝く水面へと向かうなんて許さない。
足首を掴んで引き戻す。
2度と戻れないように深い深い海の底へ。


堕としてやるよ。

俺のいる場所にまで…


「ははっ…絶対逃がさない…」

口許を歪めて笑みを浮かべるも、視界は霞んでいた。



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