Live for the night | ナノ








▼ いつもの夜のはずが…2

結局、光長さんはいつも通り、遠くのVIPなテーブルでとんでもなく羽振りのいいお姉さまと
高いお酒を飲んでサービスをしているから今日も無理みたい。

それでも、この二人ならそこまで指名料も高くはないし、いいかなぁなんて思ってると…

「ん…酔ったみたいだ…」

突然、弓月が抱き付いてきた。
顔を見るとほんのりと頬が赤くなっている。

「ちょっと!?なんでホストなのに客より先に酔っ払ってんのよ!?」

「すまん…俺は酒が実は苦手なんだ」

そう言って、 酔っぱらった弓月が私の胸に抱きついて顔を埋めてくる。

「わっ!?こら!離れて!」

「嫌だ。気持ちいいから離れたくない」

むしろ、彼は背中に回した腕の力を強める始末。
いくらホストクラブといえど、これはマズイでしょ!?ってか、これじゃ逆でしょ!
なんで、お金を払うこっちがホストにセクハラされなければならないんだ。
混乱した頭でそんな事を考えている。

「おい!弓月!離れろ!」

すると、さすがの政宗も弟分を止めに入った。
先輩として指導するんだと思った次の瞬間とんでもない一言が。

「お前、さっきからうらやましすぎるんだよ!」

目が点になる私。

「はぁ!?あんたまで何言ってんのよ!」

「コイツばっかずるいだろ!俺も君の胸に飛び込みたい」

「アホか!!そんなんだから微妙な位置にランクされるのよ!」

仮にも人気No12ホストが何言ってるんだと私がダメ出しを始める。

「すまん…俺は…もうだめだ…」

そんな中、グロッキーな弓月からギブアップ宣言。

「ちょっ!弓月!しっかりして!?トイレいこ!!ほら、アンタも手伝って!」

「仕方ないな」

気分が悪いという弓月を介抱するために、政宗に手伝ってもらって二人で慌ててトイレへ連れていく。

「弓月、本当に大丈夫?政宗、ちゃんと…」

面倒みなさいよーーー
そう言おうとした瞬間、男子トイレの中へ突き飛ばされる。

「えっ!?」

呆気にとられてると、ドアの前に立ちはだかる二人のホスト。
ご丁寧にガチャンと鍵をかける音まで聞こえる。
なんと、トイレに閉じ込められてしまったのだ。


「やっとお前と二人きりになれたな」

「おい。弓月、俺もいるぞ」

「どーゆーこと!?弓月、アンタ酔っ払ってたんじゃないの!?」

さっきとはうって変わって平然としてる弓月と口許がにやけてる政宗に驚きを隠せない。

「あれは演技に決まってるだろ。だが、お前の胸が気持ちよかったのは事実だ」

「そんな感想いらないから!セクハラしないでよ!」

「あと、ついでに言っておくと、お前は初めから俺を見習いではないと疑っていただろ?
 大当たりだ。俺はこの店のオーナーなんだ」

賢い女は嫌いじゃない―――

なんて私の反応はどこ吹く風で、優美に笑うこの男。

やーっぱり!!
てか、オーナーだったの!?
むしろそっちに驚き!!

なんて思ってたのも束の間。

「で、本題に戻るんだが、俺と弓月は君に惚れてしまってな…
 どうやったら君とヤれるか考えたんだよ。で、見事に作戦成功って訳だ」

ゲスい発言をした政宗が楽しそうに私を壁際へ追い込む。

「ちょっ…来ないでよ!ここから出して!」

「安心しろ。後悔はさせない。俺も政宗もテクニックには自信があるからな。天国を見せてやる」

「ひゃあ!?」

突然、また耳元で弓月の声が響いたかと思うと、そのまま耳朶を舐められる。
おまけにいつの間にか奴が背後から身体を密着させて両肩を抱いていた。

もはや、逃げ道はない。

「いやー!私は光長さんとお酒が飲みたいだけなのー!」

「「駄目だ。俺達だけを見ろ」」

私の魂の叫びも虚しく、結局トイレからは出してもらえなかった。


2016.8.28
天野屋 遥か



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