love that I need(後編)2



「なまえ…大丈夫…?加減がきかなくて…」


「ん…」

再び動き始めたおあいては段々と激しく腰の中を掻き混ぜてくる。
そんな中、ふと、恋人が今どんな顔をしているのか気になってしまった。
視線を寄越せば、向かいの壁に凭れて私達を眺めるおあいて2。
肌のぶつかる音や繋がる水音を恋人に聞かれて恥ずかしいはずなのに、その眼差しはまるで小さな子供たちの戯れを見守る父親のようにどこまでも優しくて、何だかこの行為が肯定どころか神格化されてさえいる様なそんな気がしてくる。

「なまえ…よそ見しないでよ」


気がつけば、視界に影が落ちてくる。そして、顎に手をかけられて上を向かされれば、正面にはおあいての顔があった。

今は僕だけを見つめて欲しいーーーー
 
切実に訴えてくる彼にごめんと声をかけて謝罪のキスをすれば、腰の中で一層大きくなる。

「はぁっ…あぁっ…もっ…無理…」

「なまえ…」

腰がぶつかり大きな音を上げながら、奥を抉られる。先端を最奥への入口に強く押し付けられる度に強烈な甘い電流が身体の芯に伝わり、目の前でパチパチと火花が散る。全身の力が奪われると同時に内側の粘膜が蠢き始めた。


「おあいて…」

「っ…」

そのまま絶頂を迎えて彼を締め付ければ、深いため息と共に膜越しに熱が膨らむのが伝わってくる。
ぎゅっと強く私を抱きしめたおあいてはそのまま頬に柔らかな口づけを落として私を解放した。


「なまえ…」

すると、今度はおあいて2が私の元へ近寄る。
健康的な黒い肌を惜しげもなく晒し、口許に既に昂っている雄を近づけてきた。
まだ残っている快感でぼんやりとした身体を起こして唇を寄せる。
先端に吸い付いて、鈴口に舌を這わせればピクリと反応する恋人。
見上げれば、その色素の薄い瞳はまるでべっ甲飴を舌で転がした時のように潤んで甘く蕩けていた。

「っ…はぁ…」

こんな風に吐息を漏らして、熱のこもった瞳で私を見下ろすおあいて2の表情を見るのが大好きで。あと、いつもこんな風に奉仕していると節くれ立った細い指で髪を梳かす様に撫でてくれるのが嬉しかった。彼が好んで撫でている猫の気持ちがわかる。優しく慈しみに溢れた指先で丁寧に触れられるのは心地よい。
もっと気持ちよくなって欲しくて張り出したエラや裏側の境目の筋を舐めていけば、荒くなる呼吸と動く腰。
口のナカにじわじわと苦い味が広がって来る。

「そろそろ…いいか?」

「ん…」

長さと硬さがさらに増したところで、制止するおあいて2。
名残惜しく唇を離せば、彼は避妊具を取り出して自らに装着する。

「おあいて2…」

ベッドに座った彼に自ら跨がり、潤った花びらの入り口に先端を口づける。そのまま腰を下ろせば、薄い被膜に包まれた固くて熱い塊が粘膜の奥へと入りこんできた。
全てを収め、両腕を恋人の首にかけて前後へと腰を振り始めるとそれに合わせる様に下から自身を打ち付けてくる。何度も身体を重ねて馴染みすぎていて、感じる場所を的確に抉られ、すぐに腰が砕けて動けなくなってしまう。

「っあぁ…あんっ…おあいて2…」

甘ったるい鳴き声を上げれば、腰を掴んだ恋人が緩急をつけながら突き上げてくる。先ほどのおあいてとの行為の余韻もあり、快感はまるで乗数の様に増幅していく。
一方で、後処理を済ませたおあいてはジーンズだけ履いてラグに座り、ビールを飲みながらただこちらを見つめていた。

「…悪かった。驚かせて」

不意に動きを止めたおあいて2が突然謝罪を口にした。
そして、そんな彼の言動に驚くと同時に、理性が少し戻って来る。

「ほんとにびっくりしたんだからね?まさかこんな事になるなんて思わなかった」

甘える様にぎゅっと抱きつけば、恋人は応える様に背中に腕を回してくれる。

「お前の事がどうでもいいからおあいてに抱かせたって思ってるか?」

「大丈夫、おあいて2がそんな事するなんて思ってないから」

不安げな声色に、顔を上げてそう伝えれば安心した様に軽く触れるキスを落とすおあいて2。
きっと「そう思ってしまった」なんて伝えたら、恋人は酷く落ち込んでしまうだろう。だから、相手を傷つけないための嘘は必要だと私は信じている。

「お前を愛してる。そして、同じくらいにおあいても大切な奴なんだ」


瞳が真摯に私を見据えた。
飾りのない真っ直ぐな言葉はいつも私の心の一番奥まで迷いなく届く。

「知ってるよ…おあいてがおあいて2にとってかけがえのない人だって」

普段は他人と距離を取り、孤独を好む恋人がこんな風に家に招く人間なんてごくわずか。彼に心を開いている事は明確だった。
私の言葉を聞き、口許に笑みを浮かべる恋人は律動を速める。
理性はまた吹き飛ばされて、上り詰めると一番奥で熱が弾ける感覚がした。



「もっと早くにこうするべきだったな…」

再びおあいてに貫かれて揺さぶられていると、ぽつりとおあいて2が呟いた。
四つん這いにされた私に背後からおあいてが侵入し、正面にいるおあいて2の猛った自身を口に含んでいる。

「おあいて2…」

「知ってたんだ。お前もコイツが好きって事は。でも、どうしても諦めたくなくてお前の優しさにつけこんでいた。先に行動起こせばと思ってたんだ。だから…本当に悪かった…」

おあいて2の独白を聞いて、やっとその本当の意図が分かった。
これは、友人への贖罪だったんだ。
髪の毛を優しく撫でているおあいて2の手の穏やかな温かさに泣きそうになる。
根を伸ばそうとしていた疑いは摘み取られ、跡形も一切残っていない。
きっと、おあいて2は親友であるおあいてへの罪悪感で独りで悩んでいたのだろうと思うと、その心根の優しさに愛しい気持ちが増した。

「いいんだ。むしろありがとう。こうして、僕もなまえちゃんに気持ちを伝えられたし、何よりこんな風に繋がる事さえ出来たんだから」


全てが吹っ切れたおあいては、積年の想いをぶつけるかの様に腰を激しく打ち付けてくる。
そんな二人の会話を聞きながら、もはや不安から解放された私はその快感に溺れた。


2017.5.16
天野屋 遥か




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