薬指に誓う永遠(前編)2




「どこ!?ここ!?」

飛び起きたなまえが、辺りをキョロキョロと見渡す。
酷く慌てていた。

「俺の家だよ。この部屋はなまえの為に用意したんだ」

君をイメージしたから、この部屋は真っ白で統一したんだよ…

そう俺が優しく微笑んだのに

「何言ってるの!?ふざけないで!帰る!」

なまえは瞳に俺を捉えた瞬間、必死に入り口へ駆け出した。

「どうして!?」

彼女がドアに手をかけるも、ガチャガチャとドアノブを回した所で扉は開かない。

「ムダだよ。内側から鍵かけてあるから。鍵を持ってるのは俺だし…」

そう言って、彼女に近づこうとすると

「来ないで!」

ドアの前で俺の方に向き直り、俺を睨みつけた。

「何でそんなに俺から逃げようとするの?」

「何でって、そんなのキュヒョン君が怖いからに決まってるじゃない!!」

彼女は表情を歪める。

「えっ…?」

「あの時も、なんで別れたと思ってるの!?
おあいて君がオカシイからだよ!!」

…彼女の言葉は音として認識できるが、意味が解らない。

「 付き合った途端、 学校で男の子と話をするだけで浮気って責められるし、
休みの日の私の行動も全て把握してるなんて…」

「どうして?俺はただ、なまえの事が大好きで…いや、愛してるだけなのに!」

なまえの言葉がショックで、俺はその場に立ち尽くす。

「メールが毎日100通も来るし、電話も着信履歴は常におあいて君の名前だけ。ノイローゼになったわ!」

固まってる俺になまえが次々とキツイ言葉を浴びせる。

「そんなの異常でしょ!?」

そして、彼女は叫び、全身で俺を拒んだ。

―ドサッ

腕を伸ばし、そんななまえを無理矢理ベッドに連れ戻す。
彼女の両腕を押さえつけ、ベッドに縫い付けた。

「だって俺はなまえの事愛してるんだよ。
愛してる人の事は全部知りたいし、俺だけを見てて欲しいんだ。」

彼女の顔を正面から覗きこみ、そう訴えるも彼女は目を反らす。

「俺はね、高校卒業してからも今日まで二年間、ずっとなまえの事だけを見てきたんだよ」

仕事が忙しかったから、逢いには行けなかったけど―――

少し残念そうに俺は笑う。

でも、今日ちゃんと再会できたし
これはもう、運命だよ。

だから、俺と…

「嫌!離して!!」

彼女は大声で俺を拒絶する。

「芸能界なんて、私なんかよりずっと綺麗な人が沢山いるでしょ!?
その人達と付き合えばいいじゃない!」

「違う!俺はなまえがいいんだよ!」

俺が必死に説得するも

「お願いだから!私の事はほっといてよ!!」

彼女が俺の気持ち解ってくれず暴れる。

…仕方ないなぁ。

俺は深いキスを落とした。

身体が通じ合えば心も通じ合うだろう。

ほんとは順番逆になるのは嫌だけど、俺はなまえの服に手をかけた。

「やぁっ!何すんの!?」

なまえのワンピースのボタンが
パラパラと床に飛び散った。
そこから覗く白い肌に、自分の欲望が疼くのを感じる。


「初めてなんでしょ?大丈夫。優しくしてあげるから」

甘く切ない声で、なまえの耳元で囁いた。


2014.12.10
天野屋 遥か



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