submission2
「お前の兄貴は馬鹿な奴だ」
先ほどから絶え間なく後ろからおあいての奴に貫かれてぐったりとしているなまえを眺めながら、ふと、亡き者にしたその兄の事を口にする。
身体の力は入らず朦朧としており、されるがままのその姿に憐れみを込めて頭を撫でてやった。
「本当だよ。素直に君を差し出せばあんな事にはならなかったのに…」
俺が出した話題に食い付いたおあいてもいつもの胡散臭い笑みを浮かべていた。
「どういう事!?」
そして、唐突に最愛の兄の話題を出されて反射的に顔を上げたお前は、まるで冷水でも浴びせられたかの様にはっきりと意識を取り戻していた。
「俺達は同盟を持ちかけたんだ。盃を交わそうと」
兄弟の契りを交わせば、お互いに協力関係へと変わる。
無駄な抗争も無くなり、双方にとって良い事しかない申し出だったのだ。
「そんな話があったの…?」
「あぁ。お前を俺達に差し出すという条件でな」
そう、たった一つの条件だった。
「なのに、アイツが拒否したからこうなったんだよ!?」
「ひゃあっ!?やぁっ…!」
おあいてが恨みがましく強く腰を打ち付け、その度に嬌声を上げる。
そのまま、奴が激しく自身を打ち込めば、再びなまえは達してしまった。
加えて、その反応でおあいてもまた溜息を漏らしながら腰を震わせる。
「"お前らの様な凶暴な男達に大切な妹を差し出す事は出来ない"とはっきり言われたよ。きっと、なまえちゃんがこんな風に僕達に嬲られる姿が見えていたんだろうね」
余韻に浸りながら背中に密着してねっとりと蛇の様に絡んでいる奴は、吐精後の充足感を漂わせながら気怠げな溜息混じりに耳許でそう呟く。
「あの野郎はずっと前から気付いていた。俺達がお前に強く関心を寄せている事を…」
「なまえちゃんは僕とおあいて2が君達の組の屋敷に何度も出入りしていたなんて知らなかったでしょ?」
「…全く気付かなかった」
あぁ、やっぱりな。
あの兄貴は意図的に俺達を寄せ付けないようにしていたのだ。
まぁ、ある意味賢明な判断だろうがな。
「馬鹿げた話だよな、全く。結局、アイツは無駄死にしただけだ。俺達はお前を手に入れた」
おあいてから解放されたコイツの腕を掴んで抱き寄せる。
膝の裏に腕を通し、横抱きにして浴槽へと運ぶ。
「そんな…お兄ちゃん…私には何も言わなかったのに…」
その最中、震える唇から紡がれる兄への想いと溢れる涙。
肉親の優しさを一身に受けとめて流れるそれの美しさを例えられる様な言葉を俺達は知らない。
俺とおあいてが持たないモノを、この女は持っている。
それは明白だった。
静かに音を立てて湯船に浸かり、向かい合うようにして跨らせる。
おあいても反対側に入浴し、面白そうに俺達の様子を見物していた。
腰の中に自身を侵入させながら、ゆるゆるとその身体を揺さぶる。
愛しい女の顔へと視線を上げれば、まだ泣き続けていた。
悲しみと俺達が与えた快感が入り混じって溢れる涙はこの上なく美しい。
ずっと見ていたいと思う程に。
「もっと泣けよ。俺の為に涙を流せ」
顔を寄せて、頬に流れる涙を舐め取って微笑んでみせれば、恐れを抱いたのか息を飲み震え始める。
お構いなしに、猛った自身を最奥へと押し込めた。
「やっ…!激しすぎ…!あぁっ!!」
なまえの腰を掴んで、そのまま深い場所に届くように何度も俺の腰を打ち付ける。
その激しさに浴槽のお湯が大きく波打ち、溢れていた。
「勝つのはいつも俺達だ。欲しいと願う気持ちが誰よりも強い者だけが望んだものを手にする事が出来るんだよ…!」
違う。
本当は欲しくても手に入らないモノを強請っているだけ。
そして、この憐れな女にそれを求めただけだった。
首輪を付ける必要があった。
離れられないように。
そして、誰も近づけないようにするように。
俺達のものだと誇示する必要があった。
「ちょっと、おあいて2がっつき過ぎじゃない?」
おあいてが揶揄するように笑い声を上げる。
「うるせぇんだよ、おあいて」
口角を上げたまま、とっくに探り当てていた良い場所を執拗に抉ってやる。
跨っている愛しい女は嬌声を上げ続け、半開きになった口からは涎が垂れてきていた。
おまけに、その腰の中はもっともっとと言わんばかりに俺にぎゅうぎゅうと吸い付いてくる。
揺さぶれば揺さぶるほどに、なまえの理性が溢れて湯に溶けて消え失せてしまえばよいとすら思えてくる。
飼い殺しにする気なんて更々ない。
ずっと愛でてやる。
どろどろになるまで溶かしてやろう。
俺とおあいての事しか考えられなくなる様にして
お前の世界を奪って、俺達だけで埋め尽くす。
「あんた達は野獣と同じよ…醜い、ただ乱暴に全てを喰らい尽くすだけの…」
少し律動を緩めてやれば、俺を睨み付けながら忌々しそうに呟く。
これだけ抱かれておいて、まだそんな精神力があるとは見上げたものだ。
「それはありがとう。誉め言葉だよ」
いつの間にか近づいてきていたおあいてが上機嫌に笑いながら胸の膨らみの先端を摘まむ。
「ひゃっ!?おあいて、やめなさいよ…!」
「見下すその野獣どもにお前は何度も犯されて孕まされるんだ。何とも滑稽じゃないか」
「あぁっ…!うぁっ!」
己の言葉を合図に再び最奥をエラで擦ってやれば、兄から与えられる刺激も加わり、
一層大きくなった喘ぎ声と段々と強くなる膣内の痙攣に絶頂が近い事を悟る。
子宮の口をこじ開ける様に更に動きを激しくして先端を口づけさせれば、お前は身体を大きく跳ねさせてそのまま俺の胸へと崩れ落ちてきた。
粘膜は熱い欲望が待ちきれないと言わんばかりに、雄を締め付けてくる。
「愛してる…」
しばらくの律動の後、振り絞るように呟く。
それと同時に、胎内を俺達で満たす様に白濁を沢山子宮に注いでやった。
その間、意識を飛ばしてしまったなまえは、ぐったりと俺にもたれ込んだまま微動だにしなかった。
その華奢な身体をそっと抱き締める。
「また失神しちゃったかぁ」
すると、俺の腕の中にいるなまえの様子をおあいてが窺ってきた。
「あぁ。まぁ、俺達も無理をさせ過ぎたからな」
「仕方ないでしょ。喉から手が出るほど欲しかったものがやっと手に入ったんだからな。おあいて2は明日からも勿論手加減なんてする気なんてないでしょ?」
「もちろん。むしろ、骨の髄までしゃぶり尽くすつもりで愛してやる」
「我が弟ながら、本当に悪趣味だよね。おあいて2は」
「これが俺の愛し方なんだから仕方ないだろ?つーか、寧ろお前には言われたくねぇよ」
からからと俺達兄弟の嗤い声がバスルームに響く。
こうやって、快感の海に顔を押し付けてまるで溺れさせる様に動かなくなるまで、浸してしまえば俺達を愛するだろう。
あぁ、でも、きっとお前は泣くだろうな。
俺達の愛情表現が理解できなくて。
それすらも容易に予想がつく。
奪うことしか知らない俺達は、気持ちを伝えようとするだけでお前を傷付けるだろう。
きっと、そうだ。
けれども…
「「お前を愛している」」
何度でも口にしよう。
お前にそれを刷り込んでやる。
2016.8.31
天野屋 遥か
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