rulers2
「なまえちゃん、なまえちゃん。まだ、ダメだよ」
私を呼ぶ声にうっすらと目を開ければ、気を失っていた私の頬を軽く叩くおあいての顔。
再び、この悪夢に呼び戻される。
「ほら、おあいて2だけじゃなくて、僕のもちゃんと締め付けて?ね?」
横たわっている私にのし掛かり、正面から侵入してきた。
おあいてはおあいて2と同じ様に美しい白い肌をしているけれど、身体付きはまるで違う。鍛えあげられていて、細身ではあるけれど、腹筋が美しく割れていた。
「やっ!ダメ…!」
「嫌って言う癖に、ここ擦ると締め付けてくるよ?」
奥まで抉られる様に貫かれて、腰を跳ねさせてしまう。おあいては私のその反応に嬉しそうに腰を動かし続けていた。
おあいて2とは違って一見優しく穏やかに見えるこの男も質が悪い。私の事なんて考えず、己の欲するままに激しく打ち付けてくる。
「はぁっ…うぁ…」
あまりの責め様に、苦しくて、思わず大きく口を開けて酸素を取り込もうとすれば舌が出てしまった。
「ん?キスして欲しいの?」
すると、クスクス笑いながらいきなり唇を塞がれる。深く舌を侵入させてきて、呼吸も何もかも全てを奪うようなそんな口付け。
まるで、溺れて身体の自由が利かないまま、深い水の底へと沈められる様なそんな感覚に襲われる。
「なまえ…こんなにトロトロな顔しちゃって可愛い」
金髪から汗の滴を滴らせ、柔らかく瞳を細めて紅く色付いた薄い唇から真っ白な歯を覗かせた。
妙な色気を纏ったこの男の動きは一層激しくなり、お臍の裏まで深く抉られて、内側から伝わる強い刺激で身体がおかしくなっていく。
「はあっ……あ……」
もう、声もほとんど出なくなってしまっていた。
身体はもう疲れ切っているのに、それでも達した膣内は彼を締め付けてしまう。そんな、女の本能が恨みがましかった。
「なまえ…全部受け止めて…」
力が抜けてしまった身体の背後に腕を回され、強く抱き締められた状態で、彼が中で質量を増して大きく跳ねる。
そして、自分の一番奥に熱が溜まっていく感覚に襲われた。
「気持ちいい…なまえの身体すごくいいよ…」
硬さを失わない男は私をキツく抱き締めたまま、再び律動を開始する。身体は開ききってしまい、力の入らない私はされるがままに受け入れざるを得ない。
底知れないその欲望に恐怖を感じた。
「おあいてもしつけーな」
揶揄する様な投げ掛けにその声の方向へ顔を向ければ、窓際でズボンだけを身に付け、煙草を吸いながら夜景越しに私とおあいての交わりをみつめて嗤うおあいて2の後ろ姿。 その背中に一面には鮮やかな紅い阿修羅が刻まれている。
そして、窓ガラスには私を懐柔するその兄の背中の菩薩も白く浮かび上がっていた。
阿修羅も菩薩も私にとっては神ではなく、悪魔でしかなかった。
「やっ…!なにこれ…」
全てが終わり、やっと解放されて身体を起こす。
すると、自分を中心に出来ているシーツの大きな染みが視界に飛び込んでくる。その正体は二人に散々出された精液で、自分の花びらから溢れてドロリと滴っていた。その量の多さに恐怖で震える。
「こんなの…子供出来ちゃう…」
あまりにも酷い所業に涙が溢れる。
「いいじゃねぇか。俺かおあいての子供ならどっちでも大歓迎だ」
いつの間にか戻ってきたおあいて2が私の右隣に座る。
「ほんとにその通りだよ。組の結束も深まるし、安泰に繋がる」
おあいても吸っていた煙草を灰皿に押し付け、左隣に腰掛けてそっと私の手を握る。
「まぁ、もう逃げられないんだし、僕達の子供産んでよ」
「そうだな。俺等以外の男と交わるなんて事は許さねぇし」
二人の極道が口々に嬉しそうに両側から私の肩を抱く。
「大丈夫、なまえは何も心配する事ないんだよ。ずっと愛して大切にしてあげるから」
それは、この先ずっとこの二人に支配されると言う死刑宣告に他ならなかった。
そして、おあいてがそっと私の涙を拭って身体を抱きかかえる。
「じゃ、お風呂に行こうか?綺麗にしなきゃね」
「やっ…!」
その微笑みの裏に潜む何かを感じ取った私は、逃げようとするけれど遅過ぎて。
「おあいて、早く連れて来いよ」
先を歩くおあいて2が振り返って私達を呼ぶ。
そのまま二人にバスルームへと導かれた。
2015.7.6
天野屋 遥か
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