Night still young | ナノ


▼ bed of lies 後編

「やっ!」

スカートをめくり上げられて、太腿を撫でられる。
思わず足を閉じようとしたけれど、即座に先輩の足に割り込まれて叶わなかった。

「…湿ってるぞ」

ショーツの上からそっと指先で秘裂をなぞり鼻で笑う目の前の男。

「そんな事ないです…」

顔を背けてそう振り絞れば、見下ろす男が喉でくつくつと嗤う声だけが聞こえる。

「まぁいいさ。すぐに良くしてやるから」

「あっ…」

するりとショーツを脱がされて、温かい指先がそっと淵を撫でたかと思えば、そのまま奥まで侵入してくる。
弱い部分を指の腹で撫でられると段々と力が抜けてしまう。

「んっ…ふぅっ…」

必死で声を我慢するけれど、反射的に腰が跳ねてしまうのはどうしようも出来ない。

「身体は正直だな…溢れてくる…」

その薄い唇をまるで空に浮かぶ三日月の様に釣り上げて、嬉々として私を見つめる先輩。
否定できない事実だった。
多分、わざとな部分もあるが、この人が中で指を動かす度に段々と聞こえてくる水の音が大きくなってくる。
胸の先端に舌を這わされ、口の中で転がされながら内側に刺激を与えられれば芯から溶かされてしまう。

「ここか?どうだ?ほら、きゅっと締まって反応してるぞ?」

普段の仕事中に丁寧に説明する口調で、事細かに状況を耳許で囁く先輩。
熱い吐息が耳を掠めるとぞくぞくと反応してしまう。

「耳も弱いのか」

そんな私の様子に気づいた彼は楽しそうに耳朶に優しく歯を立てる。そのまま、指の動きを速められて強く擦られると、かくかくと膝が笑い始めた。

「んんっ…!」

そして、とうとう達してしまった。
先輩の指に自分の粘膜が絡み付いている感覚だけを残して、身体の力が抜けていく。

「庭田…濡らし過ぎだ…」

指を秘部からぬきさり、花びらから滴る蜜を確認すると満足げに目を細めた。
挑発的に視線を寄越しながら、紅い舌で指先に付着した愛液を見せつける様に舐め取る。

「美味い…」

「もっ…止めてください…」

あまりの恥ずかしさに、堪えてきた涙がとうとう零れてくる。
ただ目の前の男に無防備な姿を晒すだけしか出来なくて…

「やっと大人しくなったな」

そんな私の恐れなど意に介さず、やれやれと言わんばかりに私の身体を申し訳程度に覆っていた残りのスカートや肌蹴きったブラウスを取り去った。

「さすがに俺も我慢の限界だ」

続いて、先輩は自分のネクタイへと手をかける。
するりと首筋から放たれたそれは空中に弧を描いて床へと横たわり、カッターシャツのボタンを外していく。
その布の奥から現れたのは均整のとれた雄の美しい身体。
漆黒の髪と瞳が映える女性よりも白い肌はしっかりとした筋肉を覆っており、まるで石膏で作られた彫刻の様な人間とは思えないものだった。

「そろそろいいだろう?」

身体が言う事を聞かない私の中心を開かせて、固くなった自身の先端で割れ目を撫でつける。
その感触に驚いて、何とか抗おうと身体を起こす。

「…お願いですから…それだけは…」

止めて欲しいーーー

もう戻れないのは分かっているけれど、最後の一線を踏み越える訳にはいかないと必死で訴える。

「悪いが、それは聞けないな」

けれども、妙に艶やかな声よって伝えた願いは無残にも踏み躙られてしまうばかり。
そのまま、熱い塊が私の中へと入ってくる衝撃と共に、その美しい男は身体に覆い被さってきた。


「肌、凄く綺麗だな」

感嘆の声を漏らす、かつては憧れていた男。
うっとりと抱えている太股を撫でて、私の皮膚の感触を確かめている。全てを晒させられた身動きの取れない私を正面からずっと犯し続けていた。

「もっ…先輩…はぁっ…」

ひたすらこの男に膣壁を抉られるだけだった。

「冴子…俺の名前を呼んでくれないか?」

中を擦られ続けた身体は力が入らず言う事を聞かない。全てを委ねる状態のままで時間が過ぎていく。そんな時にふとそんな事を言われて中に納められたまま律動が止んだ。

「ほら、どうだ?呼んでくれよ」

イイトコロに当たるか当たらないかのじれったい場所に鈍く刺激を与えるこの人。
時折、望んだ場所に当たるのがもどかしい。

「呼ばなければずっとこのままだぞ?」

あれだけ激しくしておきながら、額に汗を滲ませてはいるが息も上がる事なく平然として私を煽る。
もはや、策略家に言う通りにせざるを得ないところまで追い詰められた。

「…和樹」

微かな声でその名前を呼ぶ。
その瞬間、目の前の男性の顔はみるみる綻んでいく。

「声が小さい。もう一度ちゃんと呼んでくれ」

「和樹…!」

先ほどよりも大きな声でそう言えば、嬉しそうにキスを落とす。

「不思議なもんだな。女に名前を呼ばれるだけでこんなに嬉しい気持ちになれるなんて…」

中で自身を大きくさせたかと思うと、先程よりも激しく腰を打ち付けてきた。

「冴子、もうそろそろだろう?」

「ひゃあっ!?」

吐息混じりの低く甘い声は脳に直接響く。
最早、この人に逆らう気力など残っていなかった。

「ここが良いのだろう?ほら、どうだ?」

「やぁっ…!あっ…!」

奥の弱い場所を執拗に擦り上げられて、大きく鳴き声をあげてしまう。
そのまま、先輩は腰の動きを早め、最も奥まで貫き続けた。強い快感に内側から身体は開き、痙攣が激しくなっていく。

「ああっ…!!」

とうとう達してしまった私は、大きく身体を震わせる。
先輩はそんな私を強く抱きしめたかと思うと、腰の中で彼自身が脈打ち、熱が広がっていった。


全てが終わり、ベッドに四肢を投げ出したままぼんやりとしていた私の視界に、身体を起こしたかの男がぼんやりと浮かび上がった。

「冴子…お前はもう逃げられやしないさ」

散々己の欲望を放ったこの男は満足気にからからと嗤い声を上げて、私をきつく抱き締めた。


2015.11.14

天野屋 遥か





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