school days | ナノ


▼ every day

ここは珠洲高校。
とある町にあるごく普通の高校である。
その2年2組の金田のぞみを中心とした愛と笑いの青春ドラマが毎日繰り広げられていた。



「のぞみ〜!教科書ありがと〜!!」

みんなが授業の合間に最大限に羽を伸ばす休み時間。
隣の席の井川銀と新製品のお菓子について意見交換会をしてたら3組の東山海人がやってきた。

「いいよ〜。次から気をつけなよ。」

「んだよ、海人また忘れたのか?忘れん坊将軍だなマジで」

教科書を受け取っていると、横から銀が茶化す。

「なんだよ!忘れん坊将軍って!」

ぷくっと頬を膨らませた海人が銀の首をホールドする。
銀は座ったままだから、椅子がガタガタ言ってうるさい。

「ぎゃー!ギブギブ!」

なんて言いながら、お互いにプロレス技かけあうのはいつもの事。
今もとうとう椅子から転げて、床の上で今度は銀が海人に膝ひしぎ十固めをお見舞いしていた。
休み時間の度に海人はうちのクラスにきて銀にちょっかいを出す。

…あの仲のよさは、正直できてんじゃないかって思う。

2人共サッカー部のレギュラーで、見た目もいいからモテんのに彼女の話は聞いたことない。

海人はくりくりお目々に黒髪で小さめのすっと通った鼻と
笑った時に大きくなる口が可愛いと笑顔が仔犬みたいと女子に人気。
銀は顔がそこまでかっこいいわけではないけれど、小さめの目に
笑ったときに覗く歯茎がチャームポイントと評判。
サッカーだけじゃなくてダンスもうまくて運動神経バツグン。
しかも、話が面白くて男女問わず人気がある。


まぁ、私はただの友達だし関係ないんだけどね。
好きな人いるし。

思わずクラスの前方に視線を送る。
目線の先には私の…いや、私達の王子様である学級委員長の山澄 紫苑君。
クラスの女子に囲まれて爽やかな笑顔を向ける彼に思わずため息が出る。

「紫苑君、さっきの数学すごかった〜。あんな難しい問題よく解けるよね〜!」

「そうかなぁ?昨日予習したとこがたまたま出ただけだよ」

「今度、紫苑君に勉強教えてもらいたいな〜!」

「じゃあ、皆で勉強会しよう!」

なんて健康的に焼けた肌に白い歯を見せて切れ長の瞳を優しく細める彼に
周りの女子達の目はハートになっている。
ちなみに私も遠くから眺めてるだけなのに、そのカッコよさに惚れ惚れしてしまう。
身長180センチで8頭身のモデル体型は机の上に軽く持たれてるだけでも本当に絵になる。
顔立ちもりりしい眉に切れ長の瞳に高く通った鼻筋と少し厚めの唇から覗く規則正しく並んだ歯列は非の打ちどころがない。成績もいつも学年1位で、おまけに野球部のエースで4番打者なんてどこまで完璧なんだろう。
しかも、それを鼻にかけることもなく、真面目で女の子にも優しくて男子からも人望が厚い。
学校中の女子から”王子様”と呼ばれている人気者。

私みたいな地味な女子じゃ望みは薄いかもしれないけれど、そんな彼に絶賛片想い中。

あ、さっき海人から戻ってきた教科書チェックしなきゃ。
我に返った私はイチャついてる海人と銀を尻目にパラパラと教科書をめくり始めた。
とあるページで手が止まる。

…やっぱり。


「ちょっと!海人ー!!」

いちゃついてた2人のバカがこっちを見上げる。

「あんたまたあたしの教科書に落書きしたでしょ!絶対しないって言うから貸したのに!」

「違うよ〜! のぞみが寝ぼけて描いたんじゃないの?」

床に座ったままへらへらと笑って私の尋問にすっとぼける海人。

「何バカゆってんのよ!!私は寝ぼけてても、人物像にサングラスとチョビヒゲなんてベタな落書きしない!」

そういった瞬間、2人は大爆笑。

「怒るとこ…間違ってる…」

銀は床に突っ伏して息も絶え絶えに呟き

「今度からは、違うネタ考えなきゃ…!」

海人は決意を新たにする始末。
しかも奴はアホなので、結局自分がやったと認めている。

「今度なんてあるわけないでしょ!」

ぐいっと腕を掴んで海人の身体を起こす。
するとおまけに銀もついてきた。

「えっ!?なんで?」

「あんたが描いた落書き、紫苑君に見られちゃったのよ!」

不思議そうに目を丸くする海人に、小声でそれでも最大限に怒りを表現する。

「"のぞみさんお茶目なんだね"って爽やかスマイルで言ってくれたけど
 ほんと恥ずかしかったんだから!!
 私が描いたと勘違いされちゃったし!」

「「ヤベェ、ウケる!!」」

怒り狂う私をみて2人はまたもや笑いのビッグウェーブにのまれていた。
あははと二人の笑い声が教室の後ろで響く。クラスの皆も奴らの余りの笑いように好奇の目を向けて来る。

「も〜絶対に貸さない!!」

2人の姿にヘソを曲げてると、膝立ちをした海人が顔を覗きこんできた。

「のぞみごめんね〜。二度としないから許して〜!」

「絶対やだ!恋する乙女に恥をかかせた罪は重いの!」

唇をつんと尖らせて、ぷいっと顔をそっぽ向ける。
絶対許さないぞってゆう意志を込めて。

「そこをなんとか!何か奢るからさぁ〜」

そんな私に両手を顔の前で合わせて必死に謝ってくる海人。

「えっ…」

奴の一言に気持ちが揺らぐ。

「そうだよ。今日俺ら部活ないから放課後空いてんだ。
 この間、言ってたパフェ奢ってもらえばよくない?」

銀がすかさずたたみかけてくる。

「…ケーキも奢りなら許す。」

「奢る奢る!コイツにも半分だしてもらうし!」

キラキラとした笑顔を見せる銀。
この笑顔に弱い私はついつい毎回許してしまう。

「ちょ、何で俺もなんだよ!関係ねーのに!
 …でも、おれも正直新作のケーキ食べてみたい」

お菓子仲間の銀は不満も言いつつ何だかんだで乗り気になっていた。

「あ〜、放課後楽しみ♪」

「俺も!」

海人が自分のクラスへ戻った後、銀と2人でわくわくしながら教科書とノートを広げる。さっきまでの怒りはどこへやら、ケンカしてたのも忘れて何を食べるか2人で真剣に相談をした。



「お待たせいたしました〜!ご注文のお品です!」

「おぉ!来たぞ!」

「ほんとだ!」

「ちょっと!ぬけがけはなしだからね!」

放課後、三人でいつものファミレスに来てお目当てのものを頼む。
ウェイトレスのお姉さんが私達のテーブルの上にスウィーツをところせましと並べた。
パフェのデコレーションはお洒落なオブジェみたいだし、ケーキもいちごやマンゴー、キウイなど
カラフルなフルーツに彩られて宝石の様にキラキラ輝いて私を誘惑する。
三人ともわくわくして、思わずテーブルを覗きこむ。

「「「いただきまーす!!」」」

3人とも一斉にフォークを目の前に広がるスウィ―ツに伸ばす。

「あー!私のいちご!」

「うるさいな!俺達のおごりなんだからいいだろ!」

パフェに乗ってたいちごに狙いを定めてフォークを伸ばしたら、横から銀が素手で拐っていく。文句を言ったけど、すでに時は遅く奴の口の中でイチゴは姿を変えていた。

「じゃあ、こっちのチョコプレートは私のね!」

「え〜!?それは俺も半分食べたい〜!」

気を取り直してチョコに手を伸ばすと、今度は海人が不満を言い始める。

「仕方ないなぁ!じゃあ、半分にしよ!」

パキンと半分にチョコを割って海人の口へ運んであげると嬉しそうにそれを食べ始めた。
三人でいると常に騒がしくなるけど、こんなやり取りすら楽しい。
パフェにケーキまで一緒に食べてくれるのは、女友達にいないから。
皆”太る”だの”ダイエット”だのでそんな風に一緒に思い切り食べてくれることがない。
海人と銀はよくこうやって誘ってくれて、一緒に食べてくれるからホントにありがたい。
だから、この2人の事はいくらウザくても嫌いになれない。
三人でケーキを食べながら、今日の学校での出来事や2人の部活の話とかをして盛り上がった。

「#name#、おいしかった?」

ほとんどのお皿が空になった頃、海人が大きな目をくりくりさせて私の顔を覗き込んできた。もう海人がした教科書の落書きなんてどうでもよくなってきたし、むしろ落書きのあったおかげでこんな風にケーキが食べれてると思うと落書き万歳とすら思える。

「うん!ありがとう!」

本当にこの時間が楽しくて、笑顔でお礼言うと二人とも嬉しそうに笑っていた。



Every day
―これが私達の日常―


(しかし、のぞみも単純だよな〜。)

(いつも、同じパターンだし)

((でも、俺たちはそんなアイツのことが…))



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