school days | ナノ


▼ Melt in the mouth!

バレンタイン当日。
今日は年に一回の恋する乙女に味方の日。
すぐに渡さないと、前みたいに食べられてる事があるといけないから、登校後に早速紫苑君の元へ。


「紫苑君!おはよう!」

「おはよう!のぞみさん!」

彼の席に行くと、すでに沢山の女の子からチョコレートをもらったらしく、大きな紙袋が2つ机の上にのっていた。

「これなんだけど、よかったら食べて?昨日のクラブで作ったの。いつもお世話になってるから感謝の気持ち」

それを気にしないふりをして、紫苑君に紙袋を差し出す。

「ありがとう!絶対食べるよ!」

すると、彼は一瞬驚き、その後に満面の笑みを浮かべて受け取ってお礼を言ってくれた。
しかも、紙袋ではなく鞄にしまってくれたのは本当に嬉しかった。


「のぞみ、また見てるよ」

「いい加減、許してあげたら?」

「でも、アイツらは昨日結局、私が作ったブラウニーをすでに食べたんだよ?」

休み時間に友人と話していると、海人と銀がずっと私の方を見ていた。
あいつらは昨日家庭科クラブに乱入して、結局チョコブラウニー食べたのにまだ足りないらしい。

「そーゆー事じゃないって」

「バレンタイン当日にのぞみからチョコが欲しいんだよ」

友達はみんな銀と海人の肩をもつ。

「私はあげなくてもいいの。だって…」

「銀君、海人君!お客さん!」

クラスメイトがバカ2人を呼ぶ。廊下には、かわいいラッピングを抱えた後輩の女の子達が立っていた。

「ほらね」

「「あぁ、なるほど…」」

予言を当てた占い師みたいに得意気に答える。みんなにも私の言わんとしたことは伝わったらしい。
とりあえず、私としては朝一番に紫苑君にチョコをあげることが出来たし、友チョコ交換もして十分にバレンタインを満喫したと思う。
だから、今年のバレンタインは実質、もう終わったも同然なのだ。

「のぞみ先輩、当番一緒に行きましょう!」

昼休み、後輩の賢二君が水やり当番に迎えに来てくれた。

「あ、賢二君。これあげる!昨日、クラブで作ったの…」

「えっ?」

水やり当番が終わった後、花壇の前でチョコレートを渡すと彼はみるみる笑顔になる。
ちょっとオタクっぽい笑い方なのは黙っておこう。

「先輩、俺…「あぁ〜、俺達もチョコっと甘いもん食べたいな〜!」

「食後のデザート欲しい!」

突然、後ろから謎の主張が聞こえた。
振り返ると銀と海人が窓に頬杖をついて、物欲しそうにこっちを見ている。

「…何ですか?あれ」

賢二君の問いかけに、いきさつを説明する。

「ま、つまみ食いなんかした人達はのぞみ先輩からのチョコを貰う資格なんてないと思いますよ」

いきさつを聞いてバカ2人にチョコを見せびらかしながら、鼻で笑う賢二君。

「あ、ちなみにもうブラウニーないから」

ついでに私もトドメをさしてしまった。

「嘘だろ…!?」

「ヒドイ!!」

そう叫ぶと銀と海人は走って行ってしまった。
2人の目から水分が放出されてたような気がするのは、目の錯覚ということにしておこう。


放課後――――

「ちょっと!どこまで付いてくるのよ!?」

一人で歩いて帰っていると、1Mほど後ろからあの二人がストーカーみたいにずっと付いてくる。
耐えきれず、道端でとうとう大声を上げてしまった。

「決まってるだろ!お前がチョコくれるまでだよ!」

「のぞみ…お願い…」

もはや半ば逆ギレ気味の銀と泣きそうな海人。
うるうるとした瞳で見つめられると、こっちが悪いことをしたような気持ちになる。

「あぁもう!!」

仕方ないから、カバンから包みを出して2人に押し付けた。

「……昨日、帰ってからトリュフ作ったの」

恥ずかしいやらこそばゆいやらで顔を反らしてボソッと呟く。

「「おぉっ!!」」

さっきまでの死にそうな顔が嘘の様に嬉しそうな顔をする銀と海人。
その場でラッピングを解いて、早速食べ始めてしまった。

「「うめー!!」」

おいしそうに食べてくれる2人の姿は、何だかんだで嬉しかった。


Melt in the mouth!
-終わりよければ全てよし-


((のぞみ最高!!))

(ちょっと!抱きつかないでよ!セクハラ!!)

2017.2.14
天野屋 遥か



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