ジュンミョン兄はいつも、限界が近づくと体を熟れた林檎のように染め上げる。
白く透き通るような肌を高揚させ、まるで「もっと」と言うように俺を誘い惑わす。
その色も、はぁはぁと熱い息を吐きながらシーツの中で身悶えている彼の姿も、たまらなく好きだ。
支配欲とか、独占欲とか、そういう俗物的なものとはまた違った、何か。
一体どんな言葉で言い表せればいいのか、賢くなどない俺にはわからないけれど。
とにかく俺は、彼のそれが、…否、彼の全てが愛おしいと思うくらいには、この人に溺れているのだと思う。
「っ、じょんいな…」
「なに?」
問いかけながらも、腰を動かすことは決して止めない。
意地悪してやれば、きっと彼の方からもどかしそうに腰を振ってくれるのだろうけれど。
そうしないのは、俺の方が限界に近いから。
何だかそれが悔しくて、勢いよく奥まで腰を突き立てる。
ぱちん、という肌と肌がぶつかり合う音がして、ジュンミョン兄が一層高い声を上げて背中を仰け反らせた。
「ひあっ!ぁ、じょ、いなっ…」
強い刺激に耐えるように両腕が背中に伸びてきて、ぎゅうと抱き付かれる。
より一層近くなった二つの体。
耳元に彼の短い息が吹きかけられて、胸では煩い程の心音を感じる。
きゅっ、と膣内を締め付けてくるから、もうどうしようもなくて。
達してしまわないように眉根を潜めて快楽を逃がしていると、ジュンミョン兄がそっと顔を覗き込んで来た。
「ヒョン…?」
「じょんいな、も、…きもちい…?」
おれは、きもちいいよ。
なんて、泣きそうな声で言うから。
嗚呼、この人は、こんな時まで鈍感なのか。
そう思ったら、不思議と笑みが込み上げてきて。
それと同時に、どうしようもない愛しさが胸をいっぱいにした。
「ね、じょんいな…」
「…もう黙って、」
うるさい口は、自分のそれで蓋をして。
俺もあなたと同じだよ。
そう伝わるように、熱い吐息を彼に送った。
セイレーンの吐息