蓮奈さまより | ナノ


 愛するあなたへ、精一杯のありがとう



※南沢が雷門にいます※






3月。そして今日は南沢先輩を始めとする先輩たちが卒業する。昨日サッカー部で送別会をしたんだけどどうしてもあの人だけには“卒業おめでとうございます”って言えなかった。付き合ってまだ数ヶ月だし、歳上だからってあまり気にはしてなかったんだけど、2月下旬から卒業式の練習が始まってしまえば、もう同じ制服を着る機会が無くなるんだと実感してしまった。どうせ進学先は名門と言われる超エリート学校。内申馬鹿にはうってつけだろと一人悶々としていたら、あのムカつく校長から卒業証書を貰った南沢先輩を見たら、いつもはうぜぇくらい絡んで来たり無駄にかっこつけだったりしていたあの先輩が一瞬だが遠い人に見えてしまい、目から涙が出てしまった。くそっ…









「いいんですか?」

「何がだよ」

「そうそう、もう南沢さんと同じ制服着れないんだからさ、今日くらい写真取ればいいのに」


無事に卒業式も終わり在校生である俺たちは式の掃除をしていたらそんなことを言われてしまった。そりゃ写真くらいは撮りたいけど、南沢さんはけっこうもてるのは知ってる。学校というか全校生徒がいる前で“南沢さんは俺のだって”言えねぇし、言ったら言ったで絶対に南沢さんが調子のるのは目に見えている。たった一個違うだけなのに、









「で、倉間はさ、何か言うことはねぇの?」

「残念なことにありませんね」


無事に卒業式の片付けも終わり、みんな卒業生に花束や色々なものを送る為に、サッカー部一同は南沢先輩のクラスへ言ったんだが、相変わらずの俺は“卒業おめでとうございます”のたった一言が言えずにいる。神童や天馬たちは素直に言ってるから羨ましいと思ってしまうのだが、と軽く溜め息を吐きつつ今は南沢さんの近くで壁にもたれかかって話してるわけ。すると南沢さんは雷門の制服に付いている第二釦を契っては俺に渡してきた。


「それ取られるの阻止したんだぜ?感謝しろよ」

「はっ…?」

「誰かに取られるより大好きな倉間にあげたかったし、お前以外あげるつもり無かったっての」


その南沢さんの一言を聞いた時にじんっときた。今まで我慢していたモヤモヤしていた気持ちが爆発するかのように。俺は思わず南沢さんに泣きながら抱き付いてしまった。ここが廊下だと忘れてしまって。


「そ、つ業…しないで下さい」

「無理つーの。それに俺はそんな言葉聞きたくないな。」


まるで子供をあやすかのように俺の頭を撫でていた。くそ、こんな時まで大人ぶりやがって、なんて思ったがもう言うタイミングは今しかないと思って精一杯の気持ちで口を開いた


「卒業おめでとうございます、篤志さん」

「どうも、典人」


愛するあなたへ、精一杯のありがとう
(お前が卒業する時はその第二釦くれよな?)
(当たり前じゃないっすか)







蓮奈さまより頂きました!
桜兎の卒業祝いの倉南小説です(*^▽^*)!!
お忙しい中、桜兎なんかの為に蓮奈さまが書いてくださった宝物小説です///
メールを頂いた時は本当にビックリしました、蓮奈さま素敵過ぎます・・・!

南沢さんの卒業を素直に祝えない倉間にきゅんきゅんしました。ついでに目も潤みました(笑)ムカつきと寂しさとごちゃ混ぜになってモヤモヤしてる倉間が可愛すぎて・・・そして最後まで大人で余裕な南沢さんとかもう・・・!!2人共早く結婚してください(笑)

蓮奈さま、嬉しいサプライズを本当にありがとうございました(*^∀^*)!!



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