吸血鬼×使い魔パロ | ナノ


吸血鬼南沢×使い魔倉間パロ ※ちょっと不適切な表現があるのでR15です




「はぁ、だるい・・・」


何でこの世には太陽と言う忌々しい存在があるのだろう。と言うか、何でこの俺様がこんな真っ昼間に起きていなければいけないのだろう。

屋敷中の全ての窓のカーテンを閉め切っているからかろうじて弱っているだけで済んでいるものの、フツーの吸血鬼だったらとっくに灰になってるぞ。不老不死は万能じゃないんだ。
だってそうだろ? 本当に不老不死なら吸血鬼は生まれた直後から不老不死だ。それだと吸血鬼は全員赤子と言うことになる。俺と言う生粋の吸血鬼、見た目は10代半ば(本当の年齢は秘密)が言うんだから間違いない。そんなことは有り得ない。吸血鬼だってフツーに生きてれば歳もとるし成長もする。つまりいつかは死ぬのだ。じゃないとこの世は永遠に吸血鬼が繁殖し続ける事になるしな。

なのに何故吸血鬼が不老不死などと謳われているのかというと、それはつまり俺達の餌である人間の寿命が短いからだ。人間と吸血鬼では流れている血だけでなく時間のスピードも違う。そう考えると一瞬に等しい程儚い命の人間から見て吸血鬼が不老不死に思えるのもある意味仕方の無い事、いや当然なのかも知れない。


・・・ああ、話が随分逸れたが一応不老不死の吸血鬼にも天敵と言うか弱点はある。それは言うまでもなく、と言うかさっきから何度も言ってるが太陽だ。
十字架やニンニクなら鼻で笑って馬鹿にする程度の威力だが、どうにも太陽の光は好かない。はっきり言って苦手だ。
頭はぼーっとするし、身体はダルいし、何より眩しすぎる。いくら生命を維持する為とは言えども、日中は一切活動する気にならない。

それなのに俺がこうして渋々(本当は嫌々)ながらも起きているのは、あれもこれもそれも全部、アイツのせいであり為だった。
俺の愛しい使い魔の黒猫、倉間典人。


「・・・・・・南沢さん、妄想するのは勝手ですけどちょっとそのソファから退いてくれません?掃除出来ないんですけど」

「お前な、俺は主なんだから篤志さまって呼べっていつも言ってるだろ」

「そんな気色悪い呼び方するもんかって俺もいつも言ってます」

「もん、って・・・!可愛すぎるだろ・・・!!」

「あー、はいはい。分かりましたから退いてください」


そう言って倉間が半ば強引に俺を押し退けてソファの下まで掃除を始める。ゆらゆらと動く尻尾が、時折外の音に反応してピクリと動く耳が愛らしくて仕方ない。理性が崩れそうになる。だけどそんなことを言って押し倒したりでもしたら「掃除の邪魔すんなって言ってるでしょ発情すんなこの変態吸血鬼」とか何とか言って罵りながら本気で引っ掻くに決まってる。なんせコイツは「掃除は昼間の明るい内じゃないとやり辛い」とか言ってぐっすり眠る俺を叩き起こすくらいだからな。全く、躾というものがまるでなってない。飼い主は俺だけど。


「南沢さんは偉そうにしてるだけだから良いですけど、使い魔の俺にはやることがいっぱいあるんですよ。この屋敷の掃除から洗濯、手入れに管理に魔界への通例報告まで!何もかも俺に任せてこき使って、こんなの使い魔虐待ですからねっ」

「だから俺も手伝ってやるって言ってるだろ。つーかやってるだろ」

「顔しか取り柄の無いアンタは何やらせても不器用で逆に俺の仕事増やしてるんですよ!使い魔の俺に任せて大人しくしててくださいよね!」

「どっちだよ!しかもお前な、俺に対する態度が使い魔のそれじゃねぇよ」

「じゃあちょっとはマトモになってくださいよ」

「・・・決めた。倉間今日のおやつのニボシ抜き」

「にゃっ!?」


ちょっとでも誇り高き吸血鬼、主人としての威厳を取り戻そうと俺がそう冷たく言い放つと倉間がわなわなと震えながら本気で涙目になる。え、何マジでショック受けてんの。しかもたかがニボシで。


「・・・いくら好物とは言え、そんなんだからずっと小さいままなんだぞ倉間・・・」

「なっ、にっ、ニボシの美味しさと素晴らしさを俺に覚えさせたのは南沢さんでしょ!それにニボシはカルシウムたっぷりで身長にも効果絶大なんですからね!」

「お前・・・テレビの影響受けすぎ・・・」

「うっ、うっさいにゃん!ニボシくれないなら俺も本気で使い魔虐待として魔界に居る泣く子にも優しい鬼の三国さんに訴えますからね!!」

「どんだけなんだよ。つーか、三国に言うのはマジで勘弁」


アイツの金棒と言うかお説教は泣きたくなるくらいに長いからな・・・。しかも心がかなり痛む。なんていうかこう、母親を泣かせてしまったかのような(僅かな筈の)良心的なモノがキリキリと。思い出すだけで辛くなるからぜひ遠慮したい。俺は頭をガリガリと掻き毟ってせっかく整えた髪を少しばかり崩しながらもう一度ソファに腰掛けた。


「あー・・・食い物の話してたら俺も腹減ってきた。倉間、ちゃんとニボシやるから血ちょーだい」

「ニボシは貰いますけど血を吸われるのは嫌です。外に出て美女だか処女だかの血でも飲んでくれば良いじゃないですか」

「今は昼間だから外に出たくない。それに最近の女は汚らわしくって血も濁っててクソ不味い」

「俺からすれば使い魔の血を飲むほうがよっぽど汚らわしいですけどね。アンタには吸血鬼のプライドってものがあるんでしょう?」

「使い魔でも男でも愛しい恋人の血なら大歓迎だ。むしろお前の血だからこそ意味がある」

「ずいぶんと都合の良いプライドですね」

「俺様なんだから当たり前だろ。・・・それに、命令だと言ったら?」

「・・・・・・もちろん、使い魔だから従いますよ。俺のご主人様」

「よし、良い子だ」


妖艶にギラリと紅く瞳が光っても倉間は一切怯まなかった。むしろ首輪を外してシャツのボタンをはだけさせながら俺の膝に跨ってさえ来た。
ふさふさで黒く柔らかい猫の耳と尻尾、少しだけ開いた口から覗く赤くざらざらとした舌と尖った歯。挑発的に細められた瞳はやっぱり猫のそれで、俺は身体中の血が熱く巡るのを感じた。
ああ、やっぱり倉間は俺の可愛い使い魔の黒猫で愛しい恋人だ。早くその褐色の肌に俺の牙を食い込ませたい。激しくも甘美に、快楽を与えながら血を啜ってやりたい。

「・・・一応言っておきますけど、痛いだけならまだしも気持ちよくなっちゃうから血を吸うのはちょっとだけですよ。こんな真っ昼間からあんな声を上げるのは俺の使い魔としてのプライドが許さないんです」

「分かってるって。そんな事忘れるくらいに特別に気持ちよくしてやる」

「俺の話聞けよエロ吸血鬼」

「じゃ、いただきます」

「ちょっ、・・・っん、う・・・みゃあっ」



早起きは三文の得、そんな昔の人間の言葉が脳内のどこかで響きながら俺は構わずに思う存分倉間の血を吸った。


永遠の夜と愛を引き換えに
(月の光の祝福を受けて)
(真っ赤な薔薇の花束を)
(お前の全部は俺のもの)






一度書いてみたかったんですよね吸血鬼パロ!(笑)
でもやっぱり内容的に特殊ですしRな雰囲気になっちゃうじゃないですか。だから躊躇ってたんですけどついにやらかしちゃいましたねー。
まぁほとんどギャグなのでそんなに問題は無いと思いますけど(゜▽゜;)



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