赤ずきん×狼パロ | ナノ


赤ずきん南沢×狼倉間パロ 


おかしい。

「まぁ、なんて可愛い狼さん。ふさふさのお耳としっぽがとっても素敵。触りたいわ撫でたいわ揉みたいわ。ねぇ、良いでしょう?」

「ひぃ・・・!こ、こっちくんなっ」


おかしい。俺の知ってる赤ずきんじゃない。何だこれ誰だこれ。
そもそも見た目からしてこの赤ずきんはおかしかった。なぜなら目の前の赤ずきんはカッコこそ赤ずきんだがどう見ても男なのだ。おばあさん思いの優しくって可愛い女の子じゃない。顔がムカつくくらいに整っていて、特徴的な瞳と紫の髪を持つ年上っぽいイケメン。何がどうしてこうなった。もしや俺がこれからおばあさんの家に行ってするように、コイツも何かの目的があって赤ずきんのフリをしているのだろうか?

だが待てよ。俺がおばあさんのフリをするのはのこのことお見舞いにやって来た赤ずきんを食べる為だ。なのにこんな森の中で会って、しかも赤ずきんのほうから俺に近寄ってくるなんてどう考えてもあり得ない。と言うか、コイツ本気で何者だ?


「それにしてもケモ耳とは・・・。これはお約束の展開だよな?耳と尻尾は感じやすくってすぐ蕩けちゃうって例のアレだよな!!?」

「鼻息荒い手の動きがキモい近づくなぁぁぁあぁぁ!!!」

「おーっと、逃がさないわよ狼さん」

「!!?」


ガシッ。いつの間に用意したのか、と言うか何でそんなものを持ち歩いているのか、赤ずきん(仮)が手に持っていたバスケットから赤い首輪を取り出し、あろうことか俺の首に嵌めやがった。ちょっと待て俺は犬や猫じゃねーぞ由緒正しい(?)一匹狼だぞふざけんな離せコラ変態ずきん。そう大声で叫びながら暴れるが赤ずきんは存外力が強いらしく、首輪に繋がれたリードを握る手は少しもビクともしない。むしろぐいぐい引っ張って俺との距離を縮めようとする。


「さぁて、初めてが野外なんてちょっと刺激的すぎるけど・・・狼さんはどんな可愛い声で鳴くのかしら?」

「てめっ、いい加減にしろよ離せ!!言うこと聞かねーと食うぞコラッ!!!!」

「何言ってんだ。食われるのはお前のほうだろ?」


そう言って妖しく微笑みながら無理やり押し倒した俺に跨ってくる赤ずきんに背筋が凍る。やばい、何でかわかんないけどこれは俺が知っている赤ずきんの物語じゃない。頭の中で俺の本能的な何かが危険だと必死に訴えてくる。どうしようどうしようどうしよう。逃げなきゃ、そう思うのにしっぽも耳もぺたんと垂れ下がって震えることしか出来ない。自慢の爪や牙も、手足を押さえられて口から情けない悲鳴しか出ない今となっては何の役にも立たない。もうダメだ。俺終わった。


「・・・そんなに怯えるなよ。大丈夫だって、優しくするから」

「な、にが・・・」

「何って、ナニだろ」

「うわぁぁぁああ誰か助けてぇぇえぇえええ!!!!」



その後、森の中で切なく響いた狼の(悲痛な)叫び声はやがて静かになり、後に聞こえ始めたのは風の囁きにも似た小さくて甘い声だったとか何とか。


_________


その頃、おばあさんの家では。



「・・・狼も赤ずきんもやって来ませんねぇ・・・」

「まぁ良いんじゃない?ハッピーエンドってことで。ちゅーか、俺たちも盛り上がろ?」

「そうですね・・・って、え!!?」

「いっただっきまーす☆」



・・・・・・こうして狼は赤ずきんと、おばあさんは自分を助ける為にやって来た猟師(漁師)と、いつまでも仲睦まじく暮らしましたとさ。めでたしめでたし。






え、ハッピーエンドじゃない?(笑)
こう言うふざけた童話パロやってみたかったんです^^;
おばあさんと猟師はもちろん速水と浜野です(笑)

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