Why I love you ?   





たまに、そう本当に偶にだけど。
何で俺は南沢さんを好きなんだろうって考える。


確かに南沢さんは顔は良いと思う。
(一応)恋人だからとか、(一応)尊敬する先輩だからとか言う贔屓目を抜きにしても、もちろん同性だというのを踏まえてでも南沢さんは美人だと思う。
南沢さんは間違いなく綺麗な人だ。そこは俺も素直に認める。


人は醜いものよりも綺麗なものに惹かれる。
それは意識してようがしてなかろうがいわば当たり前のことで、って言うか自然な事であって、何もおかしくなんか無い。
宝石しかり、花しかり。人の顔や身体だって例外じゃない。
綺麗だと称賛されるほうが、美しいと愛でられるほうが、誰だって何だって良いに決まってる。
だから俺が“南沢さんの顔が良いから好き”だとしても別にありえなくは無いと思う。


かと言って、南沢さんの『綺麗』で『美人』は決して女性的なものじゃない。
南沢さんの『綺麗』で『美人』は言い換えれば『かっこいい』であって、少なくとも男の俺が恋愛的な意味で好きになるような理由では無いような気がする。
単純に顔だけの好みで言えば、普通に考えて俺は同じ男でも『女性的な美人顔』の霧野を選ぶと思う。
いやまぁ、あくまで例えの話であって俺は霧野にそんな感情なんか一切持ってねぇし、南沢さんの顔が嫌いな訳でも無いけど。
(もし万が一にでもそんな感情があったとしたら神童の精神が・・・いや、サッカー部自体が崩壊してたかもしんねぇ)


でもそれじゃあ、俺は南沢さんの顔以外のどこかがキッカケで好きになったんだろうか?
もしそうだとしたら、それはどこだ?


・・・性格か?
まさか、そんな。お世辞にもあの人は性格が良いとは言えねぇ。キザだし、ナルシストだし、一々嫌味ったらしくって偉そうだし、内申内申うるさくって基本的には他人なんかどうでも良いって態度だし。・・・あれ、今更だけど最低じゃないのかこの人。
だけど、それだけじゃないのも俺は知ってる。
南沢さんは表には出さないけど、実はものすごい努力家だ。普段の自信満々な態度は、それを裏付けるだけの実力を影で磨いてきたからだ。雷門の10番はそんな簡単には背負えない。それにふさわしい努力を、南沢さんはずっとしてきたから背負えたんだ。
馬鹿だよなぁ、あの人。俺が言えることじゃないけど、もう少し素直になればいいのに。


あと、これも本人には直接言えないけど南沢さんは割と良い先輩だと思う。
そりゃあ入部した最初の頃こそは“何だこの嫌味ったらしくってウザい先輩は”とか思ったけど(今でもちょっと思ってるけど)、そのプレーする姿は純粋に憧れた。悔しいけど、すっげーカッコよかった。あの頃も今も俺を魅了したのは、俺が目指したのは南沢さんの隣だった。南沢さんの隣に立ってサッカーをする自分を、雷門イレブンの肩書きよりも誇らしく思ったんだ。


・・・なんて、ちょっと話がずれたけど、つまり南沢さんは意外にも面倒見の良い先輩だった。態度は冷たいし口調だって厳しいけど、あの人は入部したてでまだ下手くそな俺を見下したり突き放したりしないでちゃんと面倒を見てくれた。自分の隣に立つのにふさわしいって、時間を掛けて俺を認めてくれたんだ。
フィフスセクターが管理する中でのサッカーは確かに息苦しかったけど、南沢さんの隣は何故か心地良くってサッカーも楽しかった。いつの間にか、部内で1番親しい先輩後輩の間柄になるくらいまで俺たちは心の底から打ち解けて親しくなった。

こうやって思い返してみると、やっぱり南沢さんにも良いトコあったんだなって思う。たまに先輩らしく俺を引っ張ってくれたりするし、ジュース奢ってくれたり、俺の苦手な勉強を見てくれたり、浜野や速水には言いづらい悩みや愚痴を聞いてくれたり・・・・・・ああ、南沢さんのこーいう優しいトコを俺は好きになったのかもしれない。


でもこれって、やっぱり恋愛的な意味で好きになるような理由なんだろうか?
周りに居る可愛い女子よりも同じ男として羨ましいくらいにカッコいい南沢さんを好きになった理由とはまた違う気がする。何ていうか、全部後付けみたいな感じだ。
顔も、性格も、仕草も、態度も、何もかも。悔しいくらいに南沢さんの好きなトコは何個でも挙げられるけど、どれも1番の理由じゃない。


負け惜しみとか、そんなんじゃなくって。
ただ、どれも南沢篤志を好きになった理由には足りない気がするんだ。


ああもう、意味わかんねぇし。
今更だけど何が言いたいんだ自分。何ていうか、アホらしい。時間の無駄だろ。

何で俺はあの人を好きになった理由を探してるんだ?
ただあの人を好きなだけじゃダメなのか?

理由があろうと無かろうと、俺が今までも、そしてこれからも、南沢さんという一個人を好きでいるのには変わりないんじゃないのか?


・・・・・・ああ、そうだ。馬鹿だな俺。何だ、こんなにも簡単なことじゃねぇか。
そうだよな、そんなもんだよな。どんなに性格が悪くってムカつく先輩でも、ましてや同じ男だとしても、好きになったら仕方ないよな。

俺は自分でも認めたくないくらい、ただひたすらに南沢篤志が好きなんだ。

誰かを好きになったら、嫌いなトコと同じだけいくらでも好きなトコを見つけられる。だけど、好きな理由なんてきっと、いくらでもあるようで本当はたった一つしか無いんだ。


「多分俺、南沢さんだから好きなんですよ」

「・・・何だよそれ。生意気すぎ」


そう言うと南沢さんは珍しく顔を赤くして、気まずいのか目を逸らして口元を手で覆う。何だろ、もしかして照れてんのか?こんな余裕の無い南沢さんの顔、久々に見た気がする。
俺はそれがおかしくって仕方なくって、自分でも今すっげー笑顔なんだろうなと思いながら笑ってこう返した。


「へへっ、ザマーみろです」


Because I love you.


そのすぐ後に降ってきたのはふざけんなよと言うお決まりの文句と、驚くくらいに甘くて優しいキスだった。






羽鷲見さま、本当の本当にお待たせしました・・・!!(2回目)
リクエストに上手く応えられなかった挙句、こんなオマケを勝手に押し付けて申し訳ありません・・・!!

でもせっかく南沢さんに嫁自慢をさせたので倉間くんにもぜひ夫自慢を・・・と思いまして(笑)
リクではギャグだったので、オマケではCP文にしてみました^^
最初(タイトル)と最後の英文がちょっとおかしいのは仕様です。何となく、倉間は頭悪そうなイメージがあるので(笑)
素直になれないけど南沢さんのことが好きすぎて一生懸命好きな理由を考える倉間は可愛いかなぁと思って書いたんですけど・・・考えれば考えるほど矛盾しまくりの倉間は本当馬鹿可愛いですね(笑)
そして最後には大胆発言で南沢さんをときめかせると言う・・・!!
もし桜兎だけのマニアックな萌えだったらすみません(汗)
ちょっとでも気に入っていただけたら幸いです・・・!!


それでは、これからもよろしくお願いします(*^▽^*)




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