2 「先輩はいい人と言ってたけどなー」 よいしょ。っとそこそこ重いごみを捨てながら改めて考える。 先輩のことだ、 先日、衝撃(物理的)の出会いを果たした伊波さんのことも 「優しくて可愛い子だよ!」 とかいいそうだしなあ。 まあ、まずまともな人がここで働くわけもないし……。常識人は期待しないでおこう。 「あぶないっ!」 よし。と店に戻ろうと踵を返した瞬間聞こえた声。反射的に振り向くと、 ーー目の前にはバイクが迫っていた。 「ってえええ!?」 伊波さんのパンチをくらっている俺でもこれは流石に死ぬ! とっさにしゃがむと、バイクがおれのすれすれ上を飛び越え、キキィーッッっとすごい音を立て止まった。 「た… …助かったぁ」 思わず腰が抜け、ドアの前に座り込む。 それにしても、なんなんだあのバイクは。改めて見るとスクーターなんてものではなく、結構ゴツめのタイプであれに突撃されたらひとたまりもなかっただろう。 「ごめん!まさか人がいるとは思わなかった。怪我はない?」 バイクを止め、急いで駆け寄ってくる運転者。バイクと同じ黒色のヘルメットをかぶっていて顔は見えないが心配そうな顔をしているのだろう。 その人はジーンズにパーカーというラフな格好をしていて、だいぶ細身だ。こんな人があのバイクを操っていたのかと思うと驚きである。 「えっと、返事ないけど大丈夫?やっぱどっか怪我してたりとか……」 「あ、いや、大丈夫で「「かたなし君!?今すごい音したけど大丈夫!?」 「大丈夫です」と答えようとした俺はバーンッ!という音と、先輩の声を聞いたところで、 意識を失った。 [しおり/戻る] ×
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