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「なるほど」
青みがかった髪色の子、もとい侑士くんの話だとこうだ。
2人が近所の公園で遊んでいると、クラスメイト数人ががものすごい勢いでやってきた。
理由を聞くと、いつもはこの時期でも空いてる駄菓子屋が閉まってて、なんでだ?と中を覗いたら同じ年くらいの女の子がきよばぁの定位置で眠っていたというのだ。
もしかしたら幽霊ちゃう!?
きよばぁ無事やろか…。
おい、やめぇや!
怖さ半分面白さ半分でやいのやいの盛り上がる子供たち。とりあえず、眠っていたらしい女の子の幽霊(仮)のことをなんと呼ぶかでもめ、最終的に"眠れる駄菓子屋のスヤ子さん"と名付けた。
…完全に楽しんでるだろお前ら。
そうして、とりあえず様子を見て来てやんよ!と意気込んだこの黒髪くん、もとい謙也くんとそれに巻き込まれた侑士くんの2人がここに来たところ、扉に鍵がかかっておらずそーっと侵入してここまで来たらしい。
が、謙也くんが駄菓子を置いてる棚にぶつかってしまい、やべえ!となったところで私が目を覚ましたというわけだ。
いっとくけど君たちこれは不法侵入だから!それに、眠れる駄菓子屋のスヤ子さんって、眠れる森の美女からきてるのか、それともトイレの花子さんからきてるのか…それによってお姉さんの機嫌が決まるぞ!
謙也くんは未だにわたしの幽霊疑惑を捨てきれないみたいで侑士くんの後ろに隠れている。ビビリか。
「えーと、とりあえず私は、「あら、謙ちゃんたち今日も来てくれたん?かんにんやけど今日はお休みなんよ。」…おばあちゃん」
「きよばぁ!良かったー無事やったんや!」
謙也、失礼や。と侑士くんが突っ込んだけどほんとにその通りだよ、謙也くん。
おばあちゃんはお店側の鍵をかけ忘れたことを思い出して来たらしい。
物騒すぎるでしょおばあちゃん。
「謙ちゃんたちと仲良うなったん?孫をよろしゅうな。なんなら一緒に外で遊んで来たらどうや?」
「え、」
「ええで!そうと決まれば公園へレッツゴーや!!」
「ちょ、まっ」
絶対断ると思ってたのに、私の手を引っ張ったのは意外にも謙也くんのほうだった。
さっきまで、びびってたくせに。靴がないからと断ろうとしたら、ああ、こんなこともあろうかと持って来たでーと私の靴を差し出すおばあちゃん。嘘だろ
あれやあれやと公園に連れて来られた私。公園には例のクラスメイトたちもいるわけで。
謙也、何スヤ子さん、つれだしてるん!?
俺まだ死にたないわ!
白いワンピースてもうアウトやん!!
ーはい、私。めっちゃビビられてます。
そろそろ心折れそうなんだけど。なんでこんな日に限って白のワンピースに着替えたんだろ。制服のままでいれば良かった。
やっぱり帰ろうかなと、隣の侑士くんに伝えようとしたとき、
「大丈夫や!スヤ子はきよばぁの孫なんやで?きよばぁの孫が悪いやつなわけないやん!」
と、自信満々に語る謙也くん。するとどうだろう。今まで怖がってた子供達がなんや、きよばぁの孫なんか!とすごい笑顔で話しかけて来たのだ。おばあちゃんまじすげぇ。
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