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ふわふわとした浮遊感
重たい瞼を上げて薄く開いた視界の先は何もない真っ白な世界
甘い香りに包まれて陶酔感に思考は溺れていく
君の幸せはどこにあるの?
君の幸せはどこにあるの?
穏やかな声が導く様に何度も木霊する。
「うるさい!!」
木霊していた声がぴたりと止んだ。
空気を読むならきっとここは黙っていた方が良かったのかも知れないけど睡眠妨害過ぎる。
君の幸せはどこにあるの?
君の夢はどこにあるの?
君の希望はどこにあるの?
願いは?理想は?
音量を上げて矢継ぎ早やに飛んでくる問いかけが俺を責めてくる。機嫌を損ねたらしく幻想的な雰囲気もぶち壊しだ。
幸せ?希望?漠然とした言葉を聞かれてもそうポンポン頭には浮かびやしない、それよりも眠くてしょうがない。
ああ…でもまだアレやってないっけ…
「とき愛の…ゲーム…」
無意識にポツリとつぶやいた声を聞き逃さなかったらしい見えない誰かの声が再び止んだ。
それは君の夢?願い?
「うー…とき愛は…男のロマン?」
疑問系で返答してしまったけどあながち間違いじゃないはず、それよりも寝たい。
今すぐ寝たい。
いっておいで
望む世界へ
幸せのその先へ
最後に聞こえた言葉をぼんやり受け止めながら深い睡魔に意識はゆっくりと落ちていき、ようやくの眠りに瞼を閉じる刹那、こぽりと気泡が空へと登りどこまでも澄み渡ったコバルトブルーをはっきりと目にした。
おやすみ、名無し
バチッと目を開ける。
スッキリとクリアな思考で見えたのは木々の隙間から覗く綺麗な青空でいい天気だなぁとのんびりしかけて慌てて体を起こす。白い砂浜と穏やかな海原、耳を掠める波の音は心地いい。
何ここ?何処ここ?
出かけて家に帰って夕飯食べに行こうとしてその後は…ダメだ全然思い出せない。
そう言えばとき愛のゲームがどうのこうの言ってた様な…
“そう、ここは君が望んだ世界”
「ん?て事は俺はとき愛ゲームの夢を…って誰だ今同意した奴?」
聞こえた声にキョロキョロ周りを見渡しても誰もいない。怖っ。
ぞわっと非科学的な何かの存在に若干ビビリながら素早く腰を上げた。
よく考えてみればこれが現実な訳ないじゃん。夢なら目が覚めるまでの間好きに楽しんだっていいだろう。
そういえばとき愛secondは運命の女の子を追いかけて日本を飛び出すワールドツアーverに一新されたんだっけ、それで俺は南の島にいるのかな。なるほど納得。
木陰から日差しの下に出ると降り注ぐ日光の眩しさに目を細める。カツンと何か蹴飛ばしたと思ったら俺のフリル日傘が丁度よく落ちていたので早速開いて日陰を作った。
白い砂浜の波際をゆっくりと歩く黒いエプロンドレスの俺。不釣り合いな絵面を想像したらおかしくて思わず笑ってしまった。夢ならサンセットビーチに合わせて格好も変えてくれればいいのに。いやむしろとき愛ゲームなら主人公と同じ制服じゃないの?まぁ所詮は俺の見てる夢だから仕方ない。
サクサクと歩き続けていれば木々の茂る草むらがガサガサ揺れて足を止める、なんだろう?と俺が近づくよりも先にポーンとドラゴンフルーツみたいな赤い果物が飛んできてそのまま前方の砂にぽすんと埋まった。
いきなり飛んで来た事に驚くもただの果物らしいそれを取り敢えず拾って見ようと手を伸ばせばトコトコトコと耳慣れない足音にひょこっと現われた蹄みたいな手とフルーツの上で触れ合った。
え?
上げた顔の目の前にはピンク色の帽子を被った青鼻のタヌキみたいな二足歩行の何か。
見つめ合う事三秒。
「「うわあああああああぁぁぁ!!!」」
叫ばれて思わず俺も一緒になって叫んでた。
これ何フラグ?(どこかで見覚えある様な…)
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