アホにつける薬無し  H.26/12/18


(土沖)銀←沖のはずなのにまったくその匂いがしない意味なし小話。てゆうか本番スッ飛ばしです。





「アホにつける薬無し」





「何をやっているんだおまえは」

人の部屋の襖を勝手に開けておいて土方が呆れたように言うものだから、沖田は口を尖らせた。

「なんでもいいじゃねえですか、少なくとも土方さんには関係ありやせん」
「それがあるんだよ、てめえは今日非番じゃねえだろうが」
「昨日は非番でしたぜ」
「日付変わったら出勤なんだよ普通は」
「それでなんですかい」
「なんだじゃねえよ仕事しろよ。それよりこの部屋はどういうことだ」
「俺の部屋ですけど」
「この煙はなんだっつってんだ」
「実験です」
「何の」
「惚れ薬でさあ」
「は?」

己の吐き出す煙には耐えられても、沖田の部屋に充満しているなんとも言えない臭いは我慢できず、土方が中庭に通じる障子を大きく開けた。

「何するんですかィ、寒いじゃねえですか」
「やかましい、火災報知器が作動するだろうが」
いくぶんクリアになった視界の中から、キャンプに使うガスコンロにかけられた鍋に世にも恐ろしい色合いの漢方もどきがぐつぐつと煮込まれているのが現れた。

「愛染香てのがあったでしょう」
「なんだ?」
「あれのもうちょっときついやつを配合してるんです」
「何のために」
「旦那をオトすためでさあ」
「聞き捨てならんな、てめえは何をトチ狂っていやがるんだ」
「俺ァ旦那がすきなんですけど、全然相手にしてもらえねえんです」
「残念だったな諦めろ」
「そこでね、もう身体のほうから支配しちまおうって思いやして」
「それで惚れ薬か」
「まあようは即物的にいきてえんで、惚れ薬ってか催淫剤みてえのですけども。まあとりあえず飲んでってくだせえ」
「んな怪しいモン飲めるか馬鹿野郎」
「だって旦那がコレ飲んで死んじまったらどうすんですかぃ」
「俺は良いってのか」
「願ったりでさあ」

ふつふつと煮立った鍋におたまを突っ込んで、屯所の食堂からかっぱらってきた椀に沖田がどろどろの粘液のようなものを掬って寄越した。

「熱いんで気を付けてくだせえ」
「飲めるかっつってんだ」
「アレやりやしょうよアレ」
「アレってなんだ」
「おでんのやつです」
言うが早いか沖田が椀をふりかぶって土方の顔めがけてぶちまける。見事に沸騰していた中身が土方の顔面を襲った。

「うああっつ!!!あっつ!アッチィクッソ!!!クソッ!!なにしやがんだ総悟!」
「飲みやしたか?」
「クッソアッチィ!飲みやしたかじゃねんだよ火傷すんじゃねえかバッキャーロィ!!」
「大方こぼしちまってるじゃねえですか」
「ったりめぇだろーが!クソッ!タオルかなんかねえのか?」
「ヘイどうぞ、その辺の犬コロの足拭いたやつですけど」
「いるかボケ、またお前は犬なんか拾ってきやがったのか」
「特別に拭いてさしあげまさあ」
「話逸らすんじゃねえ、イテッ、いいよ自分で拭く」
「効いてきやしたか?」
「あ?」
「くすりです。興奮してきやしたか?」

沖田は興味深そうに土方を見ている。
そういえば顔全体にかかったゲロのような液体を、いくらかは嚥下した。

「・・・」
「どうなんです?」

土方はじっと沖田を見た。
きょとんと見返す赤い瞳は、今は土方をくっきりと映しているが、土方がなにを考えているかまでは解っていないだろう。

「・・・そういや効いて来たかもしんねえな」
「エッ」
ずいと土方が一歩進んで沖田の目の前に立った。だらしなく垂れ下がった沖田の左手首をどきりとするほどの強さで掴む。
すこし土方の指が食い込んだ手首を顔の前まで持ち上げられ、じっと沖田の視線が注がれた。

「なんですかい土方さん」
「熱いか」
「いえ、とくに。寒いぐらいでさあ」
「俺の手だ」
「はあ」
「催淫剤が効いていれば熱いのじゃないか?」
「よくわかんねえです。いつもどおりじゃねえですか」
「そうか?俺は効いているような気がするが」

沖田の顎を土方の指が掬う。ぽかんと小さく口を開けているのを己の唇で挟み込むように塞いだ。

「んーっ、ぷは・・・なにするんですか」
「どうも効いてきたからな」
「効いてきたのはもうわかりやしたからどっか行ってくだせえ」
「薬が効いてきたからヤりたくなったような気もするが、そうじゃねえかもしれない。もうちょっと経ってみないとわからんな」
「そういうもんですかい」
「ちゃんと効いていたらもっと深いのがしたくなるんだがな」
「どうですかい、んーーーーーーーーう」

今度はより角度をつけて土方が沖田に噛みついた。ぬるりとした舌が入ってくる。
「んぐんぐ・・・苦しいです」
「万事屋に薬を使えばこうなるんだぞ」
「願ったりでさあ・・んっ・・・・んん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ・・・ぷは・・・土方さん」
「なんだ」
「あしのちからが抜けました」
「早いな」
くすりと笑って、膝が崩れた沖田と一緒に畳に座る。

するりとスカーフを抜いて、首筋に左手を挿しこんでやると、不自然に首を曲げてその指先を沖田が追いかけた。

「あついような気がしやす、土方さんの手が」
「そうか?」
「アッ、ボタン・・・なんではずすんですかい」
「そりゃあ効いていればはずすだろう」
「効いてるんですか?」
「どうかなあ」
「たよりねえですね」

ベストとシャツを広げて、ぽろりと晒された沖田の乳首を土方がじっと眺めた。
「めずらしくもねえでしょう、俺のなんて」
「うん、だが見ていたら効いてきたぞ」
「ほんとうですかぃ」
「万事屋に使う時はどうしたらいいか勉強になるだろう」
「そういやそうですね・・アッ」

おもむろに土方が沖田の乳首を摘んだ。沖田がビクリと身体を揺らせる。
土方の指から逃れようと上半身をくねらせるが、逃げるほどに土方の指が強く皮膚をつねり上げた。

「んあっ・・・いたい・・いてえです、やめて」
「痛いか、ふむ」
「いてえ!なんですかいアンタひでえドSでさあ、あいっ・・!」
「痛いだけか」
「んんんんっ・・ん、」
「どうだ、痛いだけか」
「うふうっ・・ん!や・・・」
「どうした、ここが熱くなってきているのじゃないか」
「ンなとこ、さわんねえでっ」

土方の手が、沖田の隊服の下半身に滑り降りた。
頭をもたげはじめている塊を下から上に撫で上げると大きく沖田の身体が震えた。土方の手から逃れるように尻で後ろにいざって、両膝を閉じて腿を擦り合わせる。

「じかたっ・・・さんは、どうなんです・・はあ・・」
「ん?」
「おれ・・・の事はいいんです、アンタはっ・・・アンタは感じてンですかぃ」
「全然だなあ」
「エッ」
「さっきは効いて来たかと思ったが、今一つみたいだ」
「うそでしょう」
「どうだろう、見てくれるか」
「なんですかいそれは」
「うーん、俺はこのままお前の乳を触っているから、勃ってくるか見ていてくれ」
「なんで」
「俺がこれで勃起したら万事屋にも同じことしてもらえばいいだろうが」
「あっそうか」
「まあまずしてくれるかどうかだけどな」
「え?」
「いやいや。俺がこうやってさわってるからお前は四つん這いになって俺のファスナー下げてみろ」
「ヘイ」
土方が膝立ちになりその前に沖田が手を突いた。露わになった白い胸に土方が手を延ばすと、驚いたように身を引きかけたが、意を決したように土方の前を下げた。

「あ」
「あ?」
「完勃ち・・・ウッ・・」
ぽこんと飛び出て来たモノに沖田がぽかんとしている間に、土方は左手で沖田の右腕を引き、右手を沖田の喉元に差しいれて乳を強く捏ねた。
指の中の肉芽は面白い程に芯が通って、土方がふふと鼻を鳴らす。

「やっぱり効いたな」
「ヘイ・・そんなら、も、もういいです。もう終いにしてくだせえ・・」
「まだだなあ」
「どうして」
「持続するかが問題だろう」
「ですか・・・」
「ああ。万事屋がノンケだったらお前の尻を見た途端いくら薬を使っても萎えるだろうよ」
「どうすりゃいいんですかぃ」
「だから俺が同じようにして使いモンになったら万事屋もイケるだろうよ」
「なるほど」
「じゃあ下脱いで寝転がって足開いてみろ」
「さすがにそれはできやせん」
「萎えそうだなあ」
「アッそれは困りやす」
「じゃあやってみろ、足開いて膝の裏持つんだぞ」

納得して沖田が隊服のパンツを脱いだ。下着も少し迷ったがえいやと降ろしてついでに前の開いたジャケットとベストとシャツを脱ごうとすると土方がそれを制した。
「そのままでいい」
「変態的ですね」
「その方が盛り上がる」

沖田が言われたとおりの姿勢をとって言った。
「いやちょっとマジこれは恥ずかしいです」

だが、土方は動かない。
「そうか」

「なんでなんにもしねえんですかい、感じやせんか?」
「うん」
「おかしいですね、もうちょっと飲みやすか?」
「いやいい、こうやっていると更に効いてきそうだ」
「俺は落ち着かねえです」
じっと動かずにただ沖田の足の間を見ていた土方が、ゆっくりとそこへ覆いかぶさった。固く大きなものが、沖田のそれに重なる。
「アッ」
「わかるか」
大きく反り返った土方自身が、同じく天を向いた弟分の裏筋を強く押し上げる。
「あっ、やめて」
「こうやって一緒に握り込んでみたらどうだろうな」
「ああっ!んぐ、さわんねえで・・・くだせっ」
土方の手の中で、沖田がどくんと脈打った。沖田の抗議を無視して、同時に質量を増し始めるお互いの息子を、螺旋状に扱き上げる。
「あっ、あ・・・はあ・・・・んふっ・・ふっ」

なんでもない顔をしながらも少し眉を寄せた土方が、沖田の目を覗きこむ。
「うん、興奮してきたぞ」
「んあっ・・・ああ・・・・あっ」

いつの間にか沖田は、土方の首にしがみつくように抱きついていた。知らず自分を慰める男の肩に歯を立てる。

「ふぐ・・・くうっ・・」
「そうだ、良い声で誘うじゃないか」

他人に触れられる快感に沖田が成す術もなく逐情しそうになったとき、ふいに土方が手を放した。
「あ・・」

「なった」
「な、なに・・・」
「なったぞ」
「なんです、かい・・」
「薬が効いて、ヤリたくなった、総悟」

土方が小さく白い歯を見せた。
そして、

と小さく口を開いた沖田の足をぐっと持ち上げて、こちらも限界に近い怒張のぬめる先端を、未開の蕾にぐっと押しあてた。









◆   ◆   ◆








はあはあと乱れる息で、沖田は土方を見上げた。
黒い上司は平然と着衣を直している。

「くすり・・・」
「あ?」
「効いたって・・・いいやしたよね・・・」
「ああ・・・・そういやそんな話だったな」

「・・・これで、旦那のこと振り向かせられやすかね」
まだ焦点の合っていないような潤んだ赤い目で、土方を見ている。
その瞳をじっと見返して、土方は呆れたようにフッと笑った。


「お前はまだそんなことを言っているのか、馬鹿が」






(おちまい)
























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