起きて眠ってまた起きて[1/3]



何故か分からないけど、とても温かい。
一定の間隔で軽く揺すられるような感覚に、鼻を擽る何か。
俺は、今何をしているんだろう?

ぼぅ、と覚醒しない意識のまま目を開けた。
目の前に写ったのは、黒いもの。
…誰かの髪の毛かな?
あれ?じゃあもしかして俺今おんぶされてる?
25歳にもなって!?

顔を上げると、前方でジュード君とミラさんが魔物と戦っているのが見えた。


「えー、どんな状況…」

「あ?もう起きたのか」


俺をおんぶしている人の声が聞こえた。
………………この声。


「あ、アルフ、ッ痛…」


アルフレドにおんぶされていると知って暴れると、後ろに落ちてしまった。
思い切り腰を強打しちゃってかなり痛む。


「おいおい、大丈夫か?」


呆れたようにため息をつき、アルフレドが俺に手を差し出した。
頭の中でブチっと何かが切れるような音がして、反射的にその手を払う。
そりゃもう全力で。
奴の手を叩いた俺の手がヒリヒリするくらい。


「触るな!!」


痛む腰に鞭打って、俺は立ち上がった。
そして、アルフレドを睨みつける。


「あ、イウ。起きたんだね。良かった…」


魔物との戦いが終わったのか、ジュード君が笑顔で駆け寄ってきた。
額には汗で髪が張り付いている。
…なんだか悪いことをしちゃった気がするなぁ。


「何か…あったの…?」


俺がアルフレドを睨みつけているところを見ちゃったのか、ジュード君は眉を下げて俺に尋ねた。


「何でもないよ、ジュード君。心配してくれてるような顔も可愛いね!」

「か、可愛い!?そんなことないよ!!…うん、元気そうだね」


呆れたようにため息をつくと、ジュード君はミラさんの所へ向かっていった。
魔物と戦って傷を負ったミラさんを治癒してるみたい。
偉いなー、献身的ってやつ?
いーなー、精霊術簡単に使えて。

…あれ?なんか俺、子どもみたいなこと言ってる気がする。


「……まあいっか」

「何のこと…ですか?」

「そこの屑が生きる価値って限りなくないのにどうして生きてるのかなー、て考えてたんだよ」

「おいコラおい」


………ん?
アルフレドの最後の突っ込みは無視するとして、さっき俺に尋ねてきた子は誰?

何のこと?という言葉が聞こえてきた方を見下ろすと、何だか見覚えのある女の子がいた。
その子の周りには空飛ぶぬいぐるみ。


「あ、あの…エリーゼ・ルタス、です…」

「僕はティポ!エリーの友達なんだよー!!」

「えーっと……俺は、イウ・カノーフ。よろしくね、エリーちゃん、ティポ」


少ししゃがんで手を差し出すと、後ずさりされちゃった。
俺、アルフレドみたいに変質者じゃないと思うんだけどなぁ。
可愛い女の子に嫌われるのはかなりショック。

…あ、思い出した。
この子達、ハ・ミルで迫害されてた子だ!!


「その、あ…よ、よろしく、お願いします…」

「よろしくー!!」


よろしく、とは言ってみたけど、この子達も旅に着いてくるのかな?
こんな魔物ばっかりの街道を一緒に歩いてるんだし、そうっぽいよね。
俺が寝てる間に何があったの!?
…あれ?どうして俺、寝て………あー、思い出した。

どうして俺、『オモシロイ』だなんて言ったんだろう。
それに、どうしてあんなにも頭が痛かったんだろう。
盗み聞きって、そんなにいけないこと?
危険人物二人の情報を掴もうとして、何が悪いのかな?

ま、考えてても仕方ない…というより考えるのは嫌いだからとりあえずアレはスルーの方向で。
よし、決定。


「ジュード君!!これから何処行くんだっけ!?」

「イラート海停だよ。あと落ち着いて。転んじゃうよ?」

「大丈夫!俺はもう子どもじゃな、うぁあ!?」

「あ!もう、だから言ったのに…」






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