印象改善はなかなかできません[1/2]



キジル海瀑を抜けてたどり着いたニ・アケリア。
前に来た時と変わらず、素朴で穏やかな村だ。

ジュード君とアルフレドが村を見渡していると、ミラさんは村人の所へ歩いていった。
勝手…というかフリーダムだね。
ミラさん節だね!


「すまない。イバルはいないか?」

「ああ、イバルならマクスウェル様を追って…マクスウェル様?!」


話しかけられた村人は目を見開いて驚いていた。
そしてすぐに膝をつきミラさんを拝む。
辺りの人もミラさんに気づき、駆け寄っては拝み始める。


「やっぱ本物、なのか…ちょっと疑ってたんだがな」

「ミラ、凄いんだね」

「…本当に本物?なら、13年前の報復をしなくちゃ。マクスウェルが余計なことをしなければ、あんなことにはならなかったんだし…」

「イウ、何か言った?」


ブツブツと独り言のつもりで呟いていると、ジュード君が俺を見上げて首を傾げていた。
可愛いなぁと思いながら何でもないよと微笑んで見せる。
だけどアルフレドには聞こえていたらしく、奴が俺の肩を掴んで耳元に口を寄せられた。
……汚らわしい。


「まだ、マクスウェルを殺される訳にはいかねぇんだよ」

「どうして?お前の事情なんて俺には関係ないよね。…あの人が本当にマクスウェルなら、俺は躊躇なく殺すから。もちろん、お前もね」

「だからあれは!」

「二人とも、何の話をしているんだ?」


戻ってきたミラさんが俺たちを不審そうに見ていた。
俺は再び何でもないよと笑ってアルフレドから離れる。
するとすぐ、ミラさんは話し始めた。


「私はこれから社で再召喚の儀式を行う。だが巫子が不在のようでな、悪いが手伝ってもらえないか?」

「僕達で何か手伝えるの?」

「俺、祭事には縁がないんだがなぁ」

「そんなに難しいことはない。村には四つの祠があり、そこに世精石がある。それを私の社まで運んでほしい」


つまり力仕事か。
にしても、再召喚とは何のことだろう。
…まぁ、これで本物かどうか分かるし、手伝ってみようかな。


「分かれて探した方が早いだろうし、俺は向こう行って来るよ」

「分かった。任せたぞ、イウ」

「クソ傭兵、ジュード君に何かあったら………ね?」

「その間なんだよ。てか、俺って全然信用されてねぇんだな」


はぁ、とため息を吐くアルフレドを見下しながら俺は三人とは反対の方へ歩き出した。

ミラさんがマクスウェルなら、俺は同行者の三人の内二人も殺さなくちゃいけないんだよね。
…まだ、人は殺してないから不安だなぁ。
でも目的のためなら仕方ない、よね。
覚悟を決めなくちゃ。
人を殺める覚悟を……







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