増す、憎悪[1/2]



魔物退治をしたり、ミラさんが空腹で倒れたり、ジュード君の手作り料理を食べれたりで日はすぐに暮れた。
ご飯の途中で寝てしまったミラさんを部屋に運んでいるときにジュード君をアルフレドと二人きりにしちゃったのには自分を呪いたくなったのを覚えている。

そんなこんなで現在、翌日の朝を迎えた。
宿の料金を払い終えたと同時にロビーに来たのはミラさん。


「ジュード、私はニ・アケリアに帰ろうと思っている」

「ニ・アケリア?ミラの住んでるところ?」

「ああ、正確には祀られているが。だがそこに帰れば、四大を再召喚できるかもしれない」


四大精霊を四大と言ったり、祀られている、とか。
まるで本当にマクスウェルみたいなことをサラリと言ってのけるミラさんには少し驚いてしまう。

そんなことを考えていて、ふと気づいた。


「…ごめん、忘れ物しちゃった」

「行ってきたら?今なら入れてくれるかも」

「そうだね。…でも、」


ジュード君に笑いかけ、先ほどまで借りていた部屋に行くため背を向けた。
そして、そっとアルフレドを睨んだ。
ジュード君に手出ししたら赦さない、と気持ちを籠めて。






「…おっかない番犬だこと」

「え?」

「いや、何でもねぇさ」









忘れ物を取りに部屋へ戻っている内に、目的地はニ・アケリアになっていた。
ジュード君も行くと行ったので、俺もついて行くと主張。
ミラさんには元から話してたしアルフレドの同意なんて求めてないから、俺たちは現在街道を歩いている。
北にあるニ・アケリアに向かって。

勿論魔物は余るほど腐るほどいるので、倒しながらだ。


「ジュード君!共鳴術技いくよ!!」

「うん、分かった!」


身を引き、ジュード君に肩を寄せる。
アルフレドを充分巻き込める位置へと軌道修正して…


「「まんぼう戦吼!!」」


巨大なまんぼうの頭を象る闘気が、魔物とアルフレドを吹き飛ばす。
出した直後、アルフレドの存在に気付いたジュード君は急いで治癒しに行った。


「…ざまぁみろ、クソ傭兵♪」

「アルヴィンが嫌いなんだな、イウ」

「そりゃね。…ミラさん、共鳴いってみよ?」

「ああ、望むところだ」


パートナーを変えて魔物を薙ぎ払っていけば、すぐに辺りは静かになった。
しばらく魔物は出てこず、俺はアルフレドから恨み言を言われながら街道を歩く。




ハ・ミルが見えたのは、それからすぐのことだった。







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