I fill it with white
しんしんと降る雪。全てを純白へと染め上げ、見かけだけの清らかさを与えていく。クリスマスは聖なる夜。雪によってなにもかも白く清らかな存在になる日なのだ。空は暗いが星が綺麗に輝き、打ち砕けぬ闇を朝まで弱めてくれるのだ。つまり、俺は何がいいたいのかというと…

「クリスマスなんて嫌いっス…」

1人ぽつんと話しかける。その言葉は誰にも届かず部屋の中で少しだけ響いて消えた。見かけだけの清らかさは俺の心になんの光も届けてくれない。上から塗りつぶすだけの白など、俺の心の中の闇を照らしてはくれない。それは夜空を照らす星も同じで、遠すぎるそれは俺の心に響いてくれない。つまり、クリスマスの日でさえ、俺は清らかになどなれないのだ。
ごろりと横になり、部屋の外を見ると雪が積もった庭がみえた。一年前の冬、同じようにこの窓をみていた。しかし、その時の俺はクリスマスの魔法に…クリスマスの幻に魅せられていた。全てを覆いつく白は大好きな青を目立たせてくれた。 白に青が一点交じるのを心待ちにしていたのだ。しかし、その青は一年後にはもう消えていた。窓の外の白にはもう何色も混ざることなどない。いや、すべての出来事は混ざりあわない。赤も緑も紫も黒も青も…そして黄色も。全ての色は混ざりあわずに光を発する。でも…

「もぅみんなとバスケできないのかなぁ…」

そう問いかけると窓は曇り、外の世界を白で塗りつぶしてしまった。自分の気持ちもすべて塗りつぶしてしまった。たった一つの願いとともに。


Dear Santa
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