非リア充の苦難
見える景色一面クリスマスで染まり、カップルたちが場所を憚ることなくイチャイチャイチャイチャ。
あっちでイチャイチャ。
こっちでイチャイチャ。
街も公園も店も小中高大全ての学生までピンク色のオーラが飛び交っていた。
はぁ…よし、心の中で叫んでやる。
リア充爆発しろ!!どうせ俺は彼女いない歴=年齢の悲しい男だ。
弟分のカイルにまで負けちまってるさ。
今だって一人悲しくケーキと酒を両手に抱えて低家賃のマンションの、ワンルームの完全一人暮らしの部屋に帰ってるところだ。
視界の端には見たことある金髪と黒髪がベンチでいちゃついてるさ。
…って、あれカイルとジューダスじゃねぇかよ!
ばれませんように…と思った先から二人と目があってしまった。
しかもカイルの馬鹿は無邪気にも俺の名を大声で(街中で!)呼びながらジューダスを連れて走ってきてるし。
「ロニ!何してるの、
一人で?」
ドスリ。悪意は存在しないであろうカイルの一言に胸を貫かれた俺、ロニ・デュナミス23歳。
ナンパは連敗記録だけが残っている。
俺の心中を知るはずないカイルは、ケーキの入った袋を見て目を輝かせている。
ちなみに、ケーキはチョコレートケーキでワンホールだ。
「ねぇロニ!このケーキどうしたの!?バイト先で貰ったの!?」
ドスリ。違うんだ、カイル。
これは、俺が、自分で、買ったんだよ…orz
「俺たちも食べちゃダメ?一人じゃ食べきれないだろうし!」
ドスリ。勝手に一人と決めつけないで欲しいな、カイル。
当たってる訳だけども!
カイルの隣で、俺の事情が分かってきたらしいジューダスがニヒルに笑った。
「……なるほどな。相変わらず
寂しい奴だな、ロニ」
ドスドスドス。見事、ジューダスは俺にトドメを刺しやがりました。
ああ、お願いだからカイル!
そんな不思議そうに首を傾げながら俺を見るな!!
余計哀れに見えるだろ!!?
「ジューダスもいいよね?ケーキ好きだろ?」
「僕は、別に…」
「え〜、好きな癖に〜」
「う、煩い!……カ、カイルがどうしてもというなら食べてやらんことは無いが。別に強いて食べたいと思うほどでは無いからな!」
「はいはい。ジューダスは相変わらず素直じゃないよなー」
お前らは相変わらずお熱いなぁ!
畜生、リア充爆発しろ!!
ああもう!
カイルに抱きつかれて顔赤くして怒鳴りながら無抵抗ってなんだよ!?
リア充なんて…リア充なんて…大っ嫌いだああ!!!
(それ、美味しいの?)
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