I need you.
※リオン女体化
※シャル擬人化





深い闇が広がる夜遅く。
唯一光を灯す部屋があった。
それは宿の二階の一室で、人影は二つ。
小柄な少女と、青年の二人だけ。

人目を気にしているのか、少女_リオンはカーテンに手をかける。


「シャル、鍵は閉めたか?」

「はい。…にしても、そこまで皆さんにバレるのが嫌なんですか?」

「当たり前だ!」


彼女が仲間に隠していること、それは二つあった。

一つは女であること。
どのような状況においても、女というだけで舐められる場合は多い。
だから、リオンは女を捨てた。
己を強く保つために。

もう一つはソーディアンに関することだ。
リオンの従者ともいえる彼、ソーディアンシャルティエには秘めた力が存在していた。
簡潔に言うならばそれは、人間になる力だ。

ソーディアンの創作者である彼の天才科学者が「面白い」という理由だけで付加した機能であるそれを、シャルティエは怪訝に思っていた時期がある。
だが、今は違う。


「博士には感謝してもしきれないくらいですね」

「どうしたんだ、シャル。いきなり…」

「いえ。少し、昔のことを思い出しまして」


何でもない、と悪戯げに笑うシャル。
自身がからかわれているような気になったリオンは、ムスッと顔を歪ませた。
そのまま背を向けるリオンに苦笑し、シャルティエはそっと歩み寄る。
そして、華奢な身体を優しく抱きしめた。


「すみません。1000年前のことを少し思い出していただけですよ」

「1000年前?」

「はい。…博士の閃きがなかったら、こうして"坊ちゃん"に触れられなかったんだなー…って」


シャルティエが言い終えると同時、部屋は静寂に包まれた。
何も言葉を発さず、動きもしない二人。
それは時が止まったのでは無いかと錯覚するほどだ。

だが、沈黙はリオンのため息により幕を閉じた。


「何が『少し』だ、馬鹿。…僕にとっては大切なことだ。シャルがいなければ僕は…っ」


腕の中の身体が_肩が微かに揺れるのを目視し、シャルティエは後悔の念は抱いた。

リオンにとってシャルティエは、現状唯一の心の支えとなっているのだ。
それを些細なことだと扱われたように、リオンは感じてしまったのだろう。


「す、すみません"坊ちゃん"!そんなつもりじゃなかったんです!!」

「…絶対赦さないからな、馬鹿シャル。それと…今は二人だけなんだから"坊ちゃん"だなんて止めてくれ」


未だ怒りを含んだ言い方だ。
だが、シャルティエが理解するには充分だった。


「はい、すみません。"お嬢様"」


腕の中でシャルティエの正面に向いたリオン。

シャルティエは彼女の顎をくい、と持ち上げると触れるだけのキスを落とした。




I need you.
(僕には貴方が必要です)








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