その青空はどこまでも続いてそうで、どこまでも人工的なものにも見えた。例えるならそう、箱庭のような。

「ひねくれてンな、そりゃ」

 わたしのつぶやきを拾った頭が、およそ空の色と交じり合うことのない赤髪をなびかせながら吐き捨てた。(日没の色とは、よく合うかもしれない。)(終わりの色、だ。)


「ねェ頭、わたし、戦争のない世界をみてみたいよ」


 たぶん、一番見つけるのが難しいお宝だと思うんだ。カチャリ。ホルスターから銃を抜きながらわたしがそう付け加えたら、頭は「違いねェ」って口を歪ませた。


「未来の海賊王さんは、そのお宝、みつけられそう?」


 問の返事は銃声でかき消された。彼にしては珍しく、濁った返事だったと思う。だって、その時の彼の顔と言ったら。顔と、言ったら。






「ねぇキッド、覚えてる?」
「あ?」
「お宝の話」
「お宝ァ?」

 カーテンの隙間から朝の陽光が差し込む中、彼はベッドの中で頓狂な声を上げた。バカみたい。覚えてるわけないのに。
 なんでもない。スマートフォンで時刻を確かめながら、かぶりを振って目を閉じた。日曜の朝6時なんて、まだ二度寝出来る。

「…何のことか知らねェが、宝なら手に入れたっての」

「……え?」

 気の抜けた声で返されたそれに、次はわたしが頓狂な声を出す。キッドの様子を見るにまだ夢心地のようだけれど、確と言葉を探した彼は続きを静かに紡いだ。


「例えばこうして、朝起きたら隣にお前がいる日常。…とかな」


 細められた瞳。ゆっくりと閉じられた瞼。頭に下ろされた手のぬくもり。まだ寝るぞと、甘く誘われた眠りの淵でわたしがみたものは。みた、ものは。







あなたは「わたしの世界」で唯ひとりの平和調律師








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 戦争と平和。

 140816


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