「おねがい頭、抱いて、いま…!」

 キッド海賊団を襲った艦隊が退き、甲板が勝利の雄叫びにまみれる中、なまえとキッドは人知れず、船長室で熱い口づけを交わしていた。





「っは、あっあっ、かし…らっんん、」
「…そんな、イイかよ…オラ!」
「ああああ」

 スプリングが激しい悲鳴を上げるベッドの上で、ふたりは繋がる。
 キッドの、乱れた赤髪から滴る汗がなまえの肌を伝って、彼女にはそれすらも確固たる刺激となってその熱を上げた。

「おく、奥にほしいのっ」
「っはは、どうしたよなまえ…今日はっえらくっ素直じゃ、ねェのっ」
「うんっ頭ァ…頭が、欲しいよ」
「っ、」

 くそ。キッドが舌打ちをひとつすると、それを皮切りに律動はますます激しくなった。
 肌と肌とがぶつかり合って、ぱんぱんと音が鳴る。愛液とカウパーが混ざり合って、ぐちゅぐちゅと水音が響く。乾いた喉から漏れる吐息が、はぁはぁと溶け合わさって、もうそのすべてがどちらのものともわからぬ程に、ふたりは抱きあった。

「頭、頭ァ…わたし、もう…っもう!」
「あァ、おれもだ」
「あっあっあっ、いく、頭、イクっ」
「く、っあ…」
「んんっイ、…あああ!」

 ぐっと、強く押し込まれたペニスになまえが細い、白い首を顕にした。全身の筋肉を硬直させて、けれどキッドを包む膣内は絶えない収縮運動を繰り返した。

「あ、ああっ待って頭、ダメ、
 いまイってるからぁあ、あん!」

 追い打ちを掛けるように、或いは愉しむかのようにキッドはそれまで触れていなかったクリトリスに手を伸ばした。つまんで、こねて、知り尽くした彼女の性感帯を最後まで喜ばせて彼も漸く熱い欲を吐き出した。

「っは、は、はぁ…」

 ずるりとペニスが引き抜かれ、なまえの身体が一度、大きく震えた。「敏感だな」「笑わないでください」それでも喉の奥でキッドが笑って、なまえは瞼を閉じることをせめてもの反抗とした。


「拗ねんなよ
 やっぱ好きだと、思っただけだ」


 下ろされたなまえの瞼にキスで触れて、適当に後処理を施したキッドはなまえと同じベッドに潜った。

「なにそっぽ向いてんだ」
「い、や…だって頭が、珍しいこと、言うから」

 なまえの耳許までかけたブランケットを少し引いて様子を見ると、こころなしかその色はほんのり赤く。キッドは思わず口角を持ち上げた。

「珍しいといえばそうだ、おまえ、今日はえらく積極的だったな」
「……わるいですか」
「んなワケねェよ。むしろ歓迎だ」
「へんたい」
「その変態に惚れたのは誰だよ」

 軽口を言い合って戯れるキッドの視界に、なまえの背にある青痣が映った。抱き合う前に交わされた、戦闘の名残。途端、眉間の皺を深く寄せて、キッドはその痣に触れないよう、手をやって、いたわった。

「無理なんか、してませんよ」

 見越したように発せられた言葉に唖然として、キッドはその愛おしい顔を覗き込んだ。そこにはただふわりとした微笑が湛えられていて、けれどそこに少しの企みがあるように思えてキッドはさらに訝しげな顔をした。

「そんなものも痛くなんてありません。頭とこうしていられるのなら」
「…なまえ、本当に素直だな今日は、どういうこ、と、…」

 キッドの言葉を遮ったのは、なまえの唇だった。
 かすめるように奪われた唇の先で、さっきキッドが感じた笑みをさらに深めて艶やかな、女の笑みを浮かべたなまえが言った。


「知ってましたか、頭
 私、硝煙と炎と鉄のにおいがする頭に抱かれる時が、一番、好きなんです」





挑発的な瞳と唇はただおれの欲望を駆り立てる素材でしかないことをこいつはわかってやっているのか

くそ、上等だ
もう嫌ってほど愛してやるよ






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150117


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