≪ top ≪ main

サンフラワーへようこそ

同じアパートに住む大学生たちのお話
完結][大学生][季節柄][コメディ]



最終話 新しい年のはじまり(1/4)
]  [目次へ]  [

年の終わりに

クリスマス・イブに降った雪は、その日のうちに止んで積もることはなかった。
でも気温の寒い日々は続き、今日も冷えた夜のこと。

「・・・このタイミングで言うのもアレなんだが。」

豆電球だけが付いたレイの部屋にて、いつものように二人一緒で温めあっていたヒナとレイ。

「俺、就職決まった。」

「え、本当!?凄いよレイ!おめでとう!!」

ヒナはレイを見上げながら。
レイはヒナを見下ろしながら。

「でも本当・・・、すごいタイミングで言うね。」

「ん。まぁ、な。」

そのままの格好で話し合う。



それぞれの将来

「本当によかった。おめでとうレイ。」

耳にしたその話を自分のことのように喜ぶヒナ。
そんな彼を見て柔らかくなったレイの表情。

「そういえばヒナは院に残るんだっけ?」

「うん。・・・地元から出たくて選んだ進学先だったけど、改めて勉強楽しいなって思えて。だから、もっともっと自分のために学んでいたくて。」

「・・・そっか。」

二人の口から語られるのは、先の将来のこと。

「でもそのころには僕もレイみたいにバイトして費用を自分だけで備えれるようにならないとね。親のスネばかり頼っていられないから。」

「・・・・・・。」

「院生でもここにいられたりするのかな?あとで大家さんに確認しておかないとな。」

輝かしい期待を膨らませるこれからの話。



期待と不安の天秤

「あ、でもレイが・・・。」

でもそこにはいつだって不安も隣り合わせにいる。

「俺は居られなくなるな。学生じゃなくなるから。」

「・・・・・・・・・。」

一度感じてしまうと期待よりも大きく傾く気持ち。
それはまだまだ先の話だと言うのに、すぐそばまでやってきてる気がした。

「あの、さ。」

そんな自分から始めた話に、レイも珍しく躊躇いを見せる。

「それでー・・・。」

スーッと大きく息を吸って。
ハーッと大きく息を吐いて。
それを二度繰り返して、強く決めた決意で告げた。

「その時は、ヒナ。お前も俺と一緒に来てほしいんだ。」



二人の将来

もちろんそれもこれからの話。
けどどちらか一人だけではなく、ヒナとレイの二人のこと。

「ここよりも狭い部屋で勝手が良くないかもしれない。収入も安定するまで、どれぐらいかかるのかもまだ分からない。それ以外にも不満や不服までも巻き込むかもしれない。」

全てが楽しいことばかりではない。
辛くなることだって起きないとは言い切れないそんな未来。

「それでも俺はヒナと一緒にいたい。いてほしい。んでもって、だな。一人前の社会人として出来るようになれたら、ちゃんと許可してもらえるところに引っ越してー・・・・・・たいと思ってる。」

「え?今、最後なんて?」

それでも一緒にいたい想いを。

「だからー・・・。」



]  [目次へ]  [
しおりを挟む


BL♂GARDEN♂BL至上主義♂
2015.05start Copyright ちま Rights Reserved.
×