≪ top ≪ main

サンフラワーへようこそ

同じアパートに住む大学生たちのお話
完結][大学生][季節柄][コメディ]



EP.4 ヒナとレイの梅雨季節(1/3)
]  [目次へ]  [

雨が続いた季節

梅雨入りが発表されてから何日が経ったのだろう?
雨が降っては降って、少し晴れてはまた降って。
そして今日もまた雨が降っていた。

「・・・ん。」

雨が静かに滴る音に目を覚ますレイ。
バイトから帰ってきたのは日の出前。
睡眠から解放されたのはお昼過ぎ。
翌日休みの日のみとは言え、夜勤はちょっぴりリズムを狂わせる。

「・・・・・・。」

自分の直ぐ隣に空いた人、一人分ぐらいのスペース。
寝ぼけたレイは何を思ったのか。
そこには誰もいないのに、そこに誰かを思い浮かべて、その誰かを空想の中で愛おしく抱きしめた。



アプリの表記名は避けてます

とは言え。このまま目を閉じたら狂ったリズムを更に狂わせることになる。
いい加減起きることにしたレイは、ぬるま湯のシャワーで掻いた汗を綺麗に流す。

「・・・ふぅ。」

バスタオルで濡れた髪を拭きながら戻ってくると、ベッドをソファー代わりに腰掛け、枕元に置いていた自分の携帯電話を手に取る。
ここでようやくSNSアプリにメッセージが受信されていたことに気づく。

『お疲れだったから起こさないでおいた 夕方までには起きててね』

それを数時間前に送信してきたのはヒナ。
たった数文字のメッセージに心を擽られたレイは『今、起きた』と柔らかい顔をして返事を送信した。



気分転換

バイトも今日はお休みなので、気分転換に傘をさして外へお出かけ。
チェーン店の喫茶店でガムシロ1にミルクポーション2入れたアイスコーヒーを飲みながら、ゆっくりと小説を読んで静かに過ごすレイ。
そこへ近付く一つの人影。

「お待たせ、レイ。」

勿論それもヒナ。

「ん。」

さっきアプリで連絡し合ったヒナとレイの二人は、ここで待ち合わせていたようだ。

「ふぅ・・・。梅雨はジメジメして参っちゃうね。汗もベトベトするし。」

「何か飲むか?」

「んー。レイの少し貰っていい?」

「ん。・・・ほら。」

「ありがとう。やっぱりまだちょっと苦いね。」

レイが飲んでいた飲み物をヒナも口にする。
そしてまたレイも口にして、一つのコーヒーで喉を潤した。



待ち合わせてた二人

その時、ふと気が付くヒナの違和感。

「頬、赤いけど大丈夫か?」

左の頬だけが、いつもよりホンの少し赤くなっており、レイは気になって手の甲で優しく触れる。

「・・・目立つ?」

「いや。ほんの少し赤いだけ。」

「そっか。」

いったい何があったのか。

「大丈夫だよ。心配しなくても。いつものことだから。」



赤い理由

ヒナから聞いた話。

「ちょっと前から友達として話す分には全然悪くなかったんだけど、向こうはそうじゃなかったみたいで・・・。」

仲良かった女の子に告られ、誰とも付き合う気はないとハッキリ断ったら、引っ叩かれたそうだ。
フラれた憂さ晴らしの代償として。
それを『いつものこと』だと、ヒナは話す。

「・・・・・・。」

もちろんその話はレイにとっても快くない話題。
だから顔色の雲行きが怪しくなっていく。



彼女をつくらない彼の話

顔がカッコいいとか、性格が優しいとか。外見やら内面やら色々な理由で人を惹かせるヒナ。
でも彼女はつくらない主義の彼。
人の心を弄ぶようにも聞こえるフレーズだが、会話以上のことは一切していない。
そんな彼の話は女子の間でも勿論。男子の間でも『ヒナ落とし』の難易度はかなり難しいことで割と有名。
彼をそうさせてしまったのは、昔のある出来事が関係している。
話せば長くなるうので、簡単に言うとー・・・。

「・・・・・・。」

『初めて好きになった子が、虐めの対象にされた』からだ。



]  [目次へ]  [
しおりを挟む


BL♂GARDEN♂BL至上主義♂
2015.05start Copyright ちま Rights Reserved.
×