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仮面優等生の歪いた愛欲

この瞬間だけでも、俺を愛して・・・。
完結][既婚者教師×仮面優等生(主人公)][略奪愛]


EP.10「分かってたことだから」(5/5)
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そのまま俺は及川に引っ張られながら、学校を後にする。
向かわされているのは、いつものバス停。
しかし早歩きで進んでいた足は、そこに着く前に途中で止まってしまう。

「・・・ごめんね、浬くん。浬くんにも見苦しいとこ見せちゃって。」

「あ、いや・・・。」

こういう時、彼になんて声を掛けていいのか。
正解が分からなくて、思わず言葉を詰まらせてしまう。
謝る必要だって何もないのに。

「・・・大丈、夫?春希くん。」

「ん?」

「あ、いや、その・・・。」

彼は続けて、俺にこう言った。

「・・・分かってたことだから。」

と。
まるでこの結果を、初めから何もかも分かっていたかのように。

「大丈夫、だよ。」

「春希くん・・・。」

「大丈夫・・・、大丈夫だから・・・・・・。ごめん。」

だからと言って、その結果が辛くないわけがない。
「大丈夫」を繰り返して、俺なんかに気遣って、静かに流れ落ちる彼の涙。
だけどそれを拭えるモノなど、俺を含めて、この場には誰もいない。
俺はそんな及川を、ただただ見ていることしか出来なかった。

「春希くん。大瀬くんのこと・・・、好きだったんだね。」

明日になったら、頼んでないフォロー入れていいから。
明日になったら、中身のない話をペラペラ語っていいから。
明日になったら、いつものバス停で。いなかったら待つから。
明日になったら、明日になったら・・・。
またいつもの彼に戻ってますように。
そう願わずにはいられなかった。






仮面優等生の歪いた愛欲 第10話を
お読みいただきありがとうございます


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