今日の日付が昨日に変わり、明日が今日になった真夜中の頃。
「ふわぁぁ〜〜〜ッ。」
学生寮の消灯時刻がとっくに過ぎているのに、自宅から持ち込んだ携帯用のゲームで遊んでいた司。 大きな大きな欠伸を一つすると目に涙がじわっと滲んできたので、ゴシゴシと手で拭き取る。
(眠くなってきたから、今日はここまでにしとこうね。)
ほどよい時間。 ほどよい眠気。 ゲームもちょうどキリがよかったおかげで寝オチせずに、ここらで電源切って終わらす。 そして真っ直ぐ寝ちゃう前に、一旦部屋を出て最寄りの男子トイレへ。
(部屋にトイレないって、よくよく考えると不便だよな〜。下痢った時、下手したら人間終わっちゃわない?)
用を済ませたら、再び自分の部屋に戻ってくる。
「うー。さぶい〜。」
春になったとはいえ、まだまだ寒い夜。 冷えた体をブルブル震わせながら戻った司は、そのままの足で二段ベッドの梯子を上り自分側のベッドに向かう。 ふと、その途中で、
「・・・Zzz。」
下の段で寝ているルームメイトであり幼馴染みでもある比路に視線がいく。 彼は静かに寝息を立てていて、ぐっすりグースカピーで気持ちよさそうにムニャムニャ眠っていた。
( ♪ )
そんな比路を見てニッコリ笑顔で何かを閃き。せっかく上ったばかりの梯子からわざわざ下りて、比路のベッドへ。
「ヒロ、もうちょいそっち。そっちいって、そっち。」
「ん〜・・・。」
ポンポン体を優しく叩いて奥に追いやって、自分のスペースを作り、布団の中に侵入成功。 二段ベッドだというのに今日もまた一つの布団で寝ようとする。が、やはりこのスペースで男二人で寝るのは流石にちょっと窮屈。 そのせいで起きてしまった比路。
「ん。つかさ、せまいってばぁ〜〜・・・。上ぇ〜・・・。」
寝ぼけマッスクな口調で出てってと司に言っているようだが、当の司は聞く耳持っていても動く気ならず。
「あ、奥にやりすぎた?もうちょいこっちきていいよ。まだこっち余裕あるから。」
スペースを少し譲っただけで、出て行こうとしない。 そんな司に比路が一言問いただす。
「も〜、なんでこっち入ってくるの?」
寝ぼけたまんま文句言っても、なんだかふにゃふにゃ。力が入ってないのが丸わかり。
「だって夜まだ冷えるし。」
「そんなの理由になってない。」
そのせいもあり司の答えはお調子が良く、この不満を分かってもらえない。 それどころか、
「だってヒロあったかいんだもん。仕方ないね。」
と。何が「仕方ない」のだろうか。
「僕、そんなに体温高くない。」
「んなことないよ。ヒロさん、ぬっくぬく。超あったかい♪」
司はそう答えると共に譲った少しのスペースに比路を引き寄せて、その手でこのまま自分の腕の中に収める。 口にした言葉通りに比路で、ぬくぬくあったまっていた。
「湯たんぽ。湯たんぽ。ヒロたんぽ。」
「その略しやめて。なんか、イヤ。」
そして、
「ヒロたんぽは俺のだもんっ。」
最後まで調子のいいことを理由にする。 一方、比路も狭くなって文句言っていたが、ちゃんと嫌がってなかった。
「・・・もう。」
嫌がるどころか、そんな理由で納得したのか。 よいしょと姿勢を直しながら、寄せられた少しのスペースを自らもう少しだけ埋める。
「へへへ。おやすみ、ヒロ。」
「おやすみ・・・、なさい。」
そして今日も結局、一緒の布団で二人仲良く寄り添いあって眠ったのでした。
おしまい
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