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青ノ葉 ある春の夜のお話(2/2)

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今日の日付が昨日に変わり、明日が今日になった真夜中の頃。

「ふわぁぁ〜〜〜ッ。」

学生寮の消灯時刻がとっくに過ぎているのに、自宅から持ち込んだ携帯用のゲームで遊んでいた司。
大きな大きな欠伸を一つすると目に涙がじわっと滲んできたので、ゴシゴシと手で拭き取る。

(眠くなってきたから、今日はここまでにしとこうね。)

ほどよい時間。
ほどよい眠気。
ゲームもちょうどキリがよかったおかげで寝オチせずに、ここらで電源切って終わらす。
そして真っ直ぐ寝ちゃう前に、一旦部屋を出て最寄りの男子トイレへ。

(部屋にトイレないって、よくよく考えると不便だよな〜。下痢った時、下手したら人間終わっちゃわない?)

用を済ませたら、再び自分の部屋に戻ってくる。

「うー。さぶい〜。」

春になったとはいえ、まだまだ寒い夜。
冷えた体をブルブル震わせながら戻った司は、そのままの足で二段ベッドの梯子を上り自分側のベッドに向かう。
ふと、その途中で、

「・・・Zzz。」

下の段で寝ているルームメイトであり幼馴染みでもある比路に視線がいく。
彼は静かに寝息を立てていて、ぐっすりグースカピーで気持ちよさそうにムニャムニャ眠っていた。

( ♪ )

そんな比路を見てニッコリ笑顔で何かを閃き。せっかく上ったばかりの梯子からわざわざ下りて、比路のベッドへ。

「ヒロ、もうちょいそっち。そっちいって、そっち。」

「ん〜・・・。」

ポンポン体を優しく叩いて奥に追いやって、自分のスペースを作り、布団の中に侵入成功。
二段ベッドだというのに今日もまた一つの布団で寝ようとする。が、やはりこのスペースで男二人で寝るのは流石にちょっと窮屈。
そのせいで起きてしまった比路。

「ん。つかさ、せまいってばぁ〜〜・・・。上ぇ〜・・・。」

寝ぼけマッスクな口調で出てってと司に言っているようだが、当の司は聞く耳持っていても動く気ならず。

「あ、奥にやりすぎた?もうちょいこっちきていいよ。まだこっち余裕あるから。」

スペースを少し譲っただけで、出て行こうとしない。
そんな司に比路が一言問いただす。

「も〜、なんでこっち入ってくるの?」

寝ぼけたまんま文句言っても、なんだかふにゃふにゃ。力が入ってないのが丸わかり。

「だって夜まだ冷えるし。」

「そんなの理由になってない。」

そのせいもあり司の答えはお調子が良く、この不満を分かってもらえない。
それどころか、

「だってヒロあったかいんだもん。仕方ないね。」

と。何が「仕方ない」のだろうか。

「僕、そんなに体温高くない。」

「んなことないよ。ヒロさん、ぬっくぬく。超あったかい♪」

司はそう答えると共に譲った少しのスペースに比路を引き寄せて、その手でこのまま自分の腕の中に収める。
口にした言葉通りに比路で、ぬくぬくあったまっていた。

「湯たんぽ。湯たんぽ。ヒロたんぽ。」

「その略しやめて。なんか、イヤ。」

そして、

「ヒロたんぽは俺のだもんっ。」

最後まで調子のいいことを理由にする。
一方、比路も狭くなって文句言っていたが、ちゃんと嫌がってなかった。

「・・・もう。」

嫌がるどころか、そんな理由で納得したのか。
よいしょと姿勢を直しながら、寄せられた少しのスペースを自らもう少しだけ埋める。

「へへへ。おやすみ、ヒロ。」

「おやすみ・・・、なさい。」

そして今日も結局、一緒の布団で二人仲良く寄り添いあって眠ったのでした。



おしまい



司×比路のある春の夜のお話でした
本編のどこかのオチに入れようとして、
なかなか計画立てれず枠外予備軍になったお話
ネタバレになりますが念のために一言
「こいつら、これでも付き合ってません」

また枠外になりかけてる話がありましたら、
こんな感じで上げられたらいいなと思います


それでは最後までお付き合いありがとうございました(*'ω'*)
そして司&比路、誕生日おめでとう!



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