小ネタ | ナノ

人類最強。そんな肩書きを背負った男性がいます。強くて凛々しくてとても格好いい人です。けれど人類最強はそんな、軽いものではありません。
最強なのだから闘わなければならない。人類の希望なのだから死んではいけない。
多くの人の期待が重くのしかかり、でもその人は逃げることもせず立ち向かうのです。どんなに仲間が命を落としても。兵長の翼はそんな期待を一身に背負って、だから、とても大きな翼を持っている。力強く羽ばたいて、巨人なんかあっという間に蹴散らして。誰にも弱音なんか吐く人じゃないから。

「いつか、その翼が折れてしまいそうで怖いんです」
「……なんだ、いきなり」
「いえ」

無性に夜が怖くなることがある。夜、日が落ちれば巨人の動きは鈍くなると言われているが、それでも、もし、丸腰のところを襲われたら一巻の終わりだ。わたしは。
ああ、駄目だ。明日の壁外調査が怖いんだ。眠ってしまえば明日が来てしまう。自分の意思で調査兵団に入ると、そう決めたのに。

「俺は死なねぇよ。…お前もな」
「…はい、」

蝋燭の薄暗い明かりの中、兵長は紅茶を飲みながらそう言った。わたしは死なない。兵長も。大丈夫。明日もきっと生きて帰れる。

***

女型が足の速い巨人を連れてきた。その知らせを他の兵士に伝えたかった、のに。馬がやられてしまった。わたしに重なるいくつもの影とのびてくる大きな手。暗転する視界。
ああ、さようなら、リヴァイ兵長。あなたはきっと生きて帰るのでしょうね。

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