ゼッケンを洗濯するために籠に入れて運んでいると誰のかもわからない声が響く。 「――危ない!」 まさか、自分に向けられているものだとは気付かずに。何の反応もしなかった。ゆえに避けることも衝撃に備えることもしていなかった。鈍くて大きな音とともに洗濯物が宙を舞った。ついでにわたしの体も吹っ飛んだ。 「っみょうじー!!」 背中痛い…。日向君たちはこんなのを受け止めてるのか。腕モゲル。モゲテシマウ。 などと考えながら体育館の床に転がっていると足音がいくつか駆け寄ってきた。「なまえちゃん、大丈夫?」と清水先輩が心配してくれただけで痛みがなくなった気がします。なんて笑いながら起き上がるとやはり痛いものは痛くて。思わず声を上げてしまった。 「オイ背中見せろ!」 「は!? いや、平気ですよ!」 「いいから!!」 影山君がとても怖い顔をしてわたしのジャージを捲りあげる。もちろん他の部員もいるわけで。もろに見られるわけで。声すら出なかった。回りの空気が固まった。 「やっぱり…痣になってる。主将、コイツ保健室連れてきます」 「…あ、ああ。任せる」 よいせ、とわたしを背負って影山君はすたすた歩いて行った。残された部員たちは。 「さすが王様。デリカシーの欠片もない」 「なんスか、なんなんスか、付き合ってんスかあいつら」 「…ピンクだった…」 「お…俺! なにも見てない! 見てないからな!!」 部活終了後、大地さんが特別だと言って肉まんを2つくれました。 |