ずっと気になった女の子とお近づきになれて舞い上がり、あれこれと手を貸す赤司君と一人で何とかしたいけどできない女の子の話。 きっかけはほんの些細なことで、よくあるシチュエーション。クラス替えで同じクラスになった。たまたま席が隣になった。教科書を忘れて見せてもらったのが始まりで仲良くなった。 ――彼、赤司征十郎。赤司君はクラスでも、と言うより学年トップの成績でとても同じ中学生とは思えない貫禄がある。テストも運動もそつなくこなし、本当に、何でも器用にやってのける人でした。 わたしとは、大違い。 わたしは人よりどん臭く、鈍く、頭も悪い、どうしようもなく愚図でした。 人についていくのがやっとでどうしようもなく不器用でした。 そんなわたしを見かねたのでしょうか。彼はわたしに手を差し伸べてくれました。甘えてはいけない、頼ってはいけない、自分で何とかしなくては。 そうは思っても実現できないのがわたしです。結局頼って、頼って頼って頼って。それでも自分で解決したいと足掻いて、足掻いて足掻いて足掻いて。分かってます無駄な努力だってそれでも足掻かずにはいられない。 「今日は雨が降るらしいね。傘は持ってきたかい?」 そう言って、わたしが首を横に振ればスクール鞄の中から折り畳み傘をだし貸してくれました。 「次の数学の授業ではコンパスを使うよ。忘れることの無いように」 そう言って、小さな紙のメモを渡してくれました。 「どうしたんだ、その怪我。血が出てるじゃないか」 そう言って、小さな切り傷のある指を手当てしてくれました。 赤司君の気づかいのおかげでわたしは以前よりしっかりした人間になりました。 ほんとうに? あれあれあれれこれじゃあ赤司君に頼りっぱなしじゃないですか。わたしひとりで何ができた? 何もできていないずっと赤司君に迷惑をかけて手を煩わせて何やってるんだろう。 いつか赤司君に見放されるのが怖くてたまらないのです。 恋愛に不器用な赤司君かわいい。 |